第598回:GoogleのAI検索から自社サイトを除外する?中小企業に安易な変更を勧めない理由
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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。GoogleのAI(Artificial Intelligence、人工知能)検索機能から、自社サイトを除外できる設定について、ご質問をいただいています。今回は、一般的な中小企業が、この設定をどう考えたらいいかをお伝えします。
先に私の考えをお伝えすると、一部の特別な事情がある会社を除いて、AIオーバービューやAIモードから自社サイトを外すのは、デメリットしかないのではないかと思っています。何を止められる設定なのかを、まず分けて考えてください。
AI検索からの除外と、学習の拒否を混ぜない
Googleは2026年8月31日、Search Consoleの「Search generative AI」という設定を、全世界のWebサイトへ提供したと案内しました。対象はAIオーバービュー、AIモード、Discover内の生成AI機能です。自社サイトのリンクや内容を、これらの機能に含めるかどうかを選ぶ設定です。
参照:Google Search Consoleヘルプ:Search generative AI control
除外を選ぶと、自社サイトへのリンクが出なくなり、自社コンテンツも回答の根拠として使われなくなります。通常の検索結果からサイトを消すnoindexとは別です。Googleは、この設定を、ほかの検索機能への掲載や順位を決める要因には使わないと説明しています。
参照:Google Search Consoleヘルプ:除外した場合の扱い
編集注:設定は単純なオン・オフだけではなく、自社のリンクと内容を含める、除外する、親プロパティの設定を引き継ぐ、という選択肢があります。基本の設定は「含める」ですが、親プロパティがある場合はその設定の継承が初期値です。反映は通常数日かかり、設定が有効になってから1〜2日で除外されるものの、キャッシュなどで長くかかる場合もあると案内されています。
参照:Google Search Consoleヘルプ:設定の選択肢・継承・反映時間
「検索経由はそれほど重視していないし、情報を持っていかれるのも嫌だから除外しよう」と思うかもしれません。でも、ここで表示しなくなることと、AIの学習に使われなくなることは別です。学習に使わせたくないなら、別の指定を考える必要があります。この設定だけで、学習まで止めたことにはなりません。
参照:Google Search Consoleヘルプ:AI学習とは別の設定
編集注:Googleは、対象モデルの学習を制限する方法としてGoogle-Extendedを案内しています。これは独立して巡回する学習用ボットの名前ではなく、robots.txtで利用を管理するための指定です。通常のGoogleのクローラーが取得した内容の扱いを制御します。
会員限定の情報や、そもそも外から見られたくない情報を守るために、この除外設定を使うものでもありません。公開範囲の管理と、AI検索への掲載をどうするかは、別に考える話です。
編集注:robots.txtはクロールへの指示であり、会員限定情報を隠す仕組みにはなりません。Googleも、非公開情報を守るにはパスワード保護など別の方法を使うよう説明しています。
参照:Google Search Central:robots.txtの限界
間違った要約の不利益が大きい会社には、除外の理由がある
では、どういう会社が使うのか。正直、あまり多くは思いつかないのですが、自分たちは正しい情報を公開しているのに、要約の誤りが繰り返される場合は考えられます。公式サイトだけでなく、求人サイトなどへ掲載した情報も直している。それでも、間違った説明をされてしまうケースです。
医療関係など、少しの言い間違いが大きな問題になる分野もあります。AIオーバービューやAIモードから集客できることより、誤解による不利益の方が大きい。そういう事情があるなら、除外を検討するのは分かります。
また、検索上で新しく知ってもらう必要がなく、決まったお客様との関係で成り立っている業界もあります。ほかの販路を十分に持つ大きな会社もそうかもしれません。露出を失う影響まで考えたうえで、それでも出したくない会社が使う設定だと思います。
公式サイトを消しても、ほかのサイトにある自社情報は残る
AIオーバービューで名前を見て、その場ではクリックしなくても、「ああ、あんな会社があったな」「よくこの名前を見るな」と覚えてもらう。その後、社名を検索し、問い合わせや成約へ向かう。私は、今はこの認知から指名検索へ進む流れが中心になっていると見ています。直接の流入だけでなく、認知の入口として考える必要があります。
「勝手に要約されたくない。公式サイトを見てほしい」という気持ちは分かります。ただ、皆さんの会社の情報は、思っている以上にいろいろな場所へ載っています。求人サイト、企業情報を集めたデータベース、第三者のブログや、昔の情報が転記されたページなどです。自社サイトを除外しても、そうした周辺情報まで消えるわけではありません。
参照:Google Search Consoleヘルプ:ほかのサイトの内容は引き続き利用される
例えば、自社では料金を改定したのに、比較サイトや過去のお客様のサイトには古い料金が残っているとします。その状態で公式サイトを回答の根拠から外したら、古い料金の方が使われやすくなってしまうのではないでしょうか。これは、公式情報を外すことの不利益を考えるための例です。
ブランドや会社の評判を守るなら、自社のサイトできちんと正しい情報をメンテナンスして、発信し続ける方が有効だと私は考えています。公式の情報を出さなくなると、間違った周辺情報を訂正する機会まで減らしてしまう。そこまで考えると、除外する理由は何だろう、と思うんですね。
1週間変化がなくても、影響がないとは判断しない
Googleは、AIオーバービューやAIモードをこれからも広げていくでしょう。2026年6月の公式資料では、AIオーバービューの月間利用者は25億人超、AIモードも10億人超とされています。AIモードは選んで使うひと手間があるのに、この規模なんですよね。クリックを一つ増やすのは、簡単なことではありません。
参照:Google:2026年6月のAlphabet投資家向け説明
Googleは2026年5月の発表でも、AIモードへの質問数が、提供開始後、四半期ごとに2倍を超えて増えたと説明しています。今後の情報収集の経路として、GoogleがAIを推していく方向は見えていると思います。
参照:Google:AIモードで検索の使い方がどう変わったか
しかも、Googleのこの設定を変えたからといって、ChatGPTやClaude、Perplexityなどでの扱いまで一緒に変わるわけではありません。Googleという大きな発見経路から、自分たちを外す判断になるということです。
「AIが嫌いだから、とりあえず拒否してみよう」と変えても、すぐに売上が変わるとは限りません。すでに検討しているお客様は会社名を知っていますし、検討の途中にいます。新しいお客様が入ってこなくなった影響は、後から出てくることがあるんです。
特に法人間の取引や、個人向けでも金額の大きな商品は、知ってから買うまでが長くなりがちです。早いところなら1か月、2、3か月たった後に、パタンと反応がなくなるようなことがある。1週間試して変化がないから大丈夫、と決めるのは怖いです。すべての会社に同じ期間で起きるという話ではなく、お客様が検討する時間を含めて見てほしいということです。
ですから、一般的な中小企業は、基本的には安易に除外しない方がいいと考えています。露出や問い合わせへの影響を含めても除外したい、という理由のある会社だけが選ぶ。そのぐらいの考え方でいいのではないでしょうか。
納得しにくい部分があっても、露出を失う判断は分ける
この設定には、私の主観ですが、「選べる機能は付けたからね。表示されるのは、あなたが除外していないからですよね」というような、Google側の言い分を感じてしまいます。選択肢があるからといって、企業が気軽に選べるわけではないんですよね。
Googleは経済的な動機を使って、企業にいろいろな対応を促してきました。構造化データも、自分たちの検索結果を充実させるために、サイト側に実装してもらう。検索で見つけてもらえることが利益になるから、こちらも対応するわけです。私は、そういうやり方にジャイアニズムを感じることがあります。
それでも、Googleからの露出を失うと、Web上での集客には大きな打撃になります。納得しにくいところがあるのと、自社がそこから消えるのとでは話が違います。一般的な中小企業は、会社やサービスを知ってもらうことが大事です。記事の閲覧そのもので収益を得るメディアとは、サイトの役割が違いますからね。
表示がおかしいなら、先に自社情報の不一致を直す
内容がおかしいなら、自社サイトをきちんとメンテナンスする。ほかの会社のサイトに間違いがあれば、修正をお願いする。本来やるべきなのは、正しいサービスの情報を、分かりやすく周知することだと思います。「面倒なAIオーバービューには、もう出さない」と決めるのは、ちょっと違うのではないでしょうか。
自社サイトの中でも、ページによって営業時間などが微妙に違うことがあります。AIを使っている方なら、定期的にサイトをクロールして、情報に食い違いがないか調べさせる方法があります。古い情報や不一致を探す仕事を、AIアシスタントに手伝わせればいいんです。
クロールには、SiteOne Crawlerのように無料で使えるツールもあります。自社サイトなら、システム担当者に話を通したうえで取得し、集めた情報から「ここが古いですよ」と見つけてもらう。そういうメンテナンスの方向へ、手間を使ってほしいと思います。
うちのサイトにも、「AIクローラーのアクセスチェッカー」を無料で公開しています。主要なAI検索用、学習用のボットに対して、robots.txtで許可・拒否がどう指定されているかを確認するツールです。検索で使われることと、学習に使われることを分けて確認したいときに使ってみてください。
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