内容について ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。 このページでは、「Webマーケティングの世界を特殊だと思い込んでいることが、足踏みの大きな原因になっている」というテーマでお話ししたPodcastの内容を、読みやすい形に整理してお届けします。 前回は「予算」や「リソース」の話、特にマーケティング予算の確保の考え方についてお話ししました。今回はそこから一歩進んで、「そもそも戦略や計画をどう立てたら良いのか」という相談にお答えしていきます。 まとめ まとめると、今日お伝えしたかったポイントは次の通りです。 「戦略や計画が立てられない」には、 「Whatは分かるがHowが分からない」タイプ と、 「WhatもHowも分からない」タイプ の二つがある リアルのマーケティングやセールスの経験は、そのままWebにも活かせる。 「特殊な世界だ」と思い込んで捨ててしまうのはもったいない WhatもHowも分からない状態で両方を同時に進めると、ほぼ確実にパンクする。その結果、アリバイ作りの仕事が増え、本質的な成果が出にくくなる うまくいく会社は、最初から 複数の人が関わり 、「会社としての取り組み」としてWebを位置づけている Webサイトは「もう一つの店舗」のような存在であり、 会社全体のタスクとしてノウハウを蓄積していくこと が重要 もし、今の状況がうまく回っていないように感じたら、 自分は「Whatは分かるがHowが分からない」のか それとも「WhatもHowも分からない」のか を一度整理してみるところから始めてみてください。その上で、 社内の誰を巻き込めそうか どこまでを自分たちで学び、どこを外部パートナーに頼るのが良さそうか といったことを、少しずつ考えていくと、今までよりも進みやすくなるはずです。 なぜ「戦略や計画が立てられない」と感じてしまうのか 日々、相談や企業研修の場でよくいただく声として、次のようなものがあります。 自社の強みや市場でのポジションがうまく言語化できない お客さまのニーズが分からない、見えてこない 長期的な計画を立てられず、短期的な施策ばかりになってしまう そもそも「戦略」や「計画」というものをどう作ればいいのか分からない ここで押さえておきたいのは、「計画が立てられない」と感じている人には大きく二つのタイプがある、ということです。 何をやるべきか(What)は分かるが、どうやればいいか(How)が分からない人 何をやるべきか(What)も、どうやればいいか(How)も分からない人 自分がどちらのタイプに近いのかを一度整理してみると、この先何から手を付けるべきかがかなり変わってきます。 戦略・計画を考えるときの3つの層(Why / What / How) まず、戦略や計画の話は、ざっくりと次の3つの層に分けて考えると整理しやすくなります。 Why(なぜやるのか) 事業の目的や存在意義。なぜそのビジネスを続けるのかという根っこの部分。 What(何をするのか) どの市場を狙い、どの顧客に、どんな価値を届けるのか。戦略や計画の大きな方向性。 How(どうやるのか) 具体的な手段やチャネル、施策の組み合わせ。いわゆるマーケティングミックスなどの世界。 ゴールデンサークル理論 と呼ばれる考え方と近いものですが、ここでは難しい理論としてではなく、「話を整理するための3階建ての構造」として捉えていただければ十分です。 ご興味がある方はこちらのTED動画がオススメです。 さて、多くの企業では、Web担当やマーケティング担当がゼロからWhyを考えるというより、「会社としての方針」がある程度決まっている場合が多いと思います。その意味では、現場の担当者が実際に手を動かして悩むのは主に次の二つです。 自社として「何をするべきか」(What) それをWebで「どう実行するか」(How) この二つのうち、どちらでつまずいているかによって、取るべきアクションはかなり変わります。 タイプ1:「Whatは分かるがHowが分からない」ケース まず一つ目のタイプです。これは、リアルの世界では何度も計画や戦略を作ってきた経験がある方に多いパターンです。 営業戦略や販売計画を立てた経験はある どんなステップを踏めば成果につながるかは、何となくイメージできている ただ、「Webになるとやり方が分からなくなる」ので止まってしまう こういう場合、実は「戦略が立てられない」のではなく、「WebのHowが分からないだけ」ということがほとんどです。 リアルの経験を「無効化」しないこと ここでとてももったいないのは、 「Webはまったく別世界だから、今までの経験は役に立たない」 と自分で自分の経験を否定してしまうことです。 Webマーケティングの世界は、営業やマーケティングの歴史と比べれば、まだせいぜい数十年程度の歴史しかありません。リアルの営業や販促に比べれば、経験者が少ないという意味では「若い分野」ではありますが、根本の考え方は大きく変わりません。 実際、私がご一緒してうまくいっている企業の多くは、次のような流れで成果を出しています。 まずリアルの営業や販促でうまくいっている「考え方」や「段取り」をしっかり洗い出す それをWeb向けに「翻訳」するつもりで、手段だけを置き換えていく 足りないHowは、勉強や外部パートナーで補う つまり、「今までの経験を土台にして、その上にWebのHowを乗せていく」という発想に切り替えるだけで、かなりスムーズに計画を立てられるケースが多いのです。 Howは「自分で学ぶ」か「パートナーを得る」か では、足りないHowはどう補えばよいでしょうか。大きく分けると選択肢は二つです。 自社内で担当者が学び、試しながら身につけていく コンサルティング会社や制作会社、広告会社など、外部パートナーに一部を任せる どちらが正解という話ではありません。大事なのは、 リアルの経験やノウハウは「そのまま財産」として活かす Web特有の手段やツールの部分だけを補うつもりで動く という姿勢です。 自社サイトから自分で反響を取っている中小企業の経営者の方々を思い浮かべると、多くの方がまさにこのパターンです。リアルでのマーケティング・セールスの経験を土台にしながら、Webならではの手段を少しずつ広げていくことで、「Webも自分たちの得意領域」に変えていっています。 タイプ2:「WhatもHowも分からない」ケース 次に、より苦しいのがこちらのケースです。 何をしたらよいか(What)も分からない どうやって進めたらよいか(How)も分からない 実は、このタイプの方のほうが現場では多いと感じます。典型的なパターンは、次のようなものです。 「パソコンに詳しそうだから」で任される現場 社内でこんなことが起きていないでしょうか。 なんとなくパソコンに強そう、ネットに詳しそうという理由でWeb担当に任命される 実際には、社内の人間関係や部署間の力学、営業の現場などの情報はあまり持っていない にもかかわらず、「新しいホームページを何とかして」「Web集客をなんとかして」と丸ごと任される 本来、会社全体の方針を踏まえた戦略や計画(What)を考えるのは、ある程度の経験と権限を持った層の仕事です。いきなり任命された担当者に、 戦略や計画を考える(What) 具体的なWebの施策を組み立てる(How) この両方をいっぺんに要求するのは、かなり無理のある状態です。 WhatとHowを同時にやろうとしてパンクする タイプ2で一番避けたいのは、「WhatもHowも分からない状態で、両方を同時に片付けようとする」ことです。 実際、次のような相談をよくいただきます。 社内での立場的に、他部署を動かすのが難しい でも、Webで成果を出さなければならないとプレッシャーはかかる 手段も分からないまま、とりあえずセミナーに出たり、ツールを導入したりしてみる この状態が続くと、ほぼ間違いなくどこかでパンクします。さらに厄介なのは、責任が重い分だけ「自分を守るための動き」が増えてしまうことです。 「アリバイ作りの仕事」が増えてしまうメカニズム よく現場で見かけるのが、いわゆる「アリバイ作りの仕事」が増えてしまうパターンです。 上からは「ちゃんとやっているのか」と問われる 成果が出ているかどうかより、「動いている形」が求められる その結果、「分かりやすい報告のための施策」が増えていく 例えば、 とにかく毎月のアクセスレポートを作ることが仕事の中心になる 小さなキャンペーンを頻繁に立ち上げて、「取り組み実績」として並べる 社内向けの見栄えを優先した施策が増える しかし、こうした「アリバイ作り」の仕事は、外向けの成果にはあまりつながりません。しかも、やっている本人も「これは本当に意味があるのか」と薄々感じているので、心身ともに消耗しやすい構造です。 この状態に陥るのは、担当者本人の能力の問題ではなく、そもそもの「任せ方」「体制の作り方」に原因があるケースが多い、と私は感じています。 Webマーケティングは「特殊な世界」ではない ここで一度、前提を整理したいと思います。 Webマーケティングの世界は、しばしば「リアルとはまったく別の特殊な世界」と語られてきました。その背景には、Web業界側の営業トークもあったと思います。 ただ、現場で数多くの企業を見てきた立場から言うと、基本的な考え方はリアルのマーケティングやセールスとほとんど変わりません。 ターゲットとなるお客さまは同じ人間 検討のプロセスも、大枠ではリアルと共通している 違うのは「使う道具」「接点となる場」がWebかリアルか、という点だけ 特に現在は、多くの人が当たり前のようにオンラインとオフラインを行き来しながら購買行動をしています。ある時期までは「Web上での購買行動が特殊だった時代」もありましたが、今はその境目がかなり薄くなっています。 だからこそ、リアルの世界で積み上げてきた経験やノウハウを、 「Webには通用しない」と捨ててしまうのではなく 「どうWebに翻訳するか」を考える材料として、きちんと活かす という発想が、とても重要になります。 うまくいく会社・うまくいかない会社の違い(現場で見てきたパターン) コンサルティングの現場で、私は多くの企業のWeb活用に関わってきました。その中で、正直にお伝えすると、「うまくいくパターン」と「なかなかうまくいかないパターン」があると感じています。 うまくいかないパターンの典型 うまくいかないケースで共通しているのは、次のような状況です。 会社の中でWebの優先度が低い リソース(人・予算・時間)がほとんど割かれていない それでも「目に見える結果」だけは求められる しかも、WhatもHowもよく分からない担当者に丸投げされている この状態だと、 担当者はアリバイ作りの仕事で疲弊する 一定期間やっても成果が見えず、「予算を使ったのに結果が出ない」で打ち切られる ノウハウや経験も社内に残らない という、非常にもったいない終わり方をしてしまいがちです。 うまくいく会社に共通していること 一方で、うまくいっている企業には、次のような共通点があります。 最初の段階から、複数の人が関わっている 経営や現場のキーマンが、「自分たちはこう考えている」と真剣に意見を持っている その上で、「Webの世界ではどう進めるべきか」を一緒に考えようとしている つまり、 What(何をするか)を考えられる人が、ちゃんとプロジェクトに入っている 担当者一人に背負わせず、「会社として取り組むもの」として扱っている という構図です。 コンサル側としても、このような体制が整っていると、提案やサポートがしやすくなりますし、結果として成果につながりやすくなります。 では、具体的にどう進めればよいのか ここまでの話を踏まえて、「じゃあ現場では何をしたらいいのか」というところを、少し整理します。 1. Whatを考