第492回:ヒートマップで気づいたことを、すぐ修正の結論にしない
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
自分たちのホームページを、お客さんはどんなふうに使っているのでしょうか。アクセス数やページごとの数字は見ていても、実際の動きを見る機会は少ないかもしれません。今回は、ヒートマップやマウスの動きの記録から、改善の気づきを得るというお話です。
こうした記録を見ると、思った以上にページが見られていなかったり、意図と違う動きをされていたりします。ちょっと怖いことでもあるんですが、その違いを受け入れるところから始めていただきたいんですね。
見てもらえているつもりと、実際の動きを比べる
クリックのヒートマップは、どこがよくクリックされているかを、色の違いで表したものです。よく押されるボタンやメニューは目立ち、あまり押されていないところはそうでもない。本当はここを押してほしかったんだけれど、意外とこちらが押されているんだな、ということが分かります。
スクロールのヒートマップでは、ページのどの辺りまでスクロールされているかを見ます。例えば、半分ぐらいの人がこの辺りまで来ている、一番下まで行くのはこれぐらい、といった見方ですね。
途中に置いたバナーが、ページの終わりのように見えてしまっているのではないか。段落同士のつながりが悪く、そこで先へ進まなくなっているのではないか。こういうことを考えるきっかけになります。ファーストビューしか見られていないようなサイトに出会うこともあります。
大切なのは、下まで見せること自体ではなく、自分たちの認識と実際の動きの差を確かめることです。縦に長ければ、必ず最後までスクロールしてもらわなければいけない、というわけではありません。「この辺りまでは見てもらえているはず」と思っていたことを、記録に照らして見直すために使います。
まとまった数字では見えにくい気づきを得る
数値で全体の傾向を見ることは、もちろん大事です。ただ、たくさんの人の動きをまとめて見ていると、一人ひとりの違いは分かりにくくなります。全体としてはこうなっている、という数字の中に、次の改善のヒントが埋もれていることがあるんですね。
マウスの動きを記録したものを見ると、例えば同じところを何度も押していたり、ボタンではないところを押そうとしていたりする。その人がどう動いたかが見えるので、こちらが想像していなかった使いづらさに気づくことがあります。
これは、インタビューやアンケートなどと同じように、少数の人から気づきを得る調査の一つとして考えていただくといいと思います。その人だけの動きかもしれないけれど、自分たちが考えるきっかけにはなるわけです。
一人の動きから仮説を見つけ、まとまった数字で確かめるという組み合わせを作ります。数値を見るか、個別の動きを見るか、どちらか一方を選ぶ話ではありません。両方を使うことによって、次に何を確かめるべきなのかが見えてきます。
記録を見る際には、どの状態のページのデータなのかも大切です。バナーの順番を変えた後のページに、変える前のクリック位置を重ねても、意味が分からなくなりますよね。記録と、そのときの画面はセットで考えてください。
一日一件を見る習慣と、共有する場を作る
ツールを入れても、その後に見なければ意味がありません。自分のサイトを使っている人の動きを見るのは、正直、ショッキングなことも多いです。ここは見てくれるはず、こう進んでくれるはずという期待が、どんどん外れていくからです。
途中で見るのが嫌になってしまう人もいるんですが、そこは慣れていくしかありません。自分の声を録音して、こんな声だったのかと思ったから、もう聞きたくないというのと少し似ていますね。第三者の目で、自分たちのサイトを受け止める練習でもあります。
私は、お客さんには「一日一件、記録を見ることをルーティンにしてください」とお伝えしています。習慣になってくると、少しずつ客観的に見られるようになります。全部を見ようとして、一日が終わってしまうような状態にする必要はありません。
一人で眺めて終わらず、気になった動きを持ち寄って話す場まで作っておくといいと思います。例えば月に一回、面白かった記録を共有する。余裕があれば月に二回ぐらいでもいいでしょう。同じ動きを見ても、人によって気づくところが違いますので、みんなで考える材料になります。
気づいたからといって、すぐに直す結論にしない
ここで気をつけていただきたいのが、一件の記録に振り回されることです。「こんな動きをしていた。だったらここを変えよう」と、すぐ結論を出すのは、ちょっと気が早いんですね。その動きが、ほかの人にも当てはまるかは、まだ分かりません。
そういう可能性があるなら、別の数字でも裏付けを取ってみる。あるいは、A/Bテストをしてみる。間に、確かめる工程を置いてください。印象的な動きほど気になってしまいますが、印象が強いことと、直すべき優先順位が高いことは、同じではないわけです。
観察で得たものは改善の答えではなく、検証するための仮説として扱います。そう考えていくと、仮説は立ったけれど、今の状態では確かめられない、ということにも気づくようになります。
そのときは、何があれば検証できるのかを考える。答えを得るために、サイト側で何か用意しておく必要があるかもしれません。実際の動きを見て、仮説を持ち、確かめられる状態を作る。こうしたことを繰り返しながら、数字と個別の行動の両方から、ホームページを見られる会社になっていただければと思います。
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