第298回:会社が変われないときは、一度に起こす変化を小さくする
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
環境が変わったので、自分たちの会社も変わらなければいけない。そう思って大きく動こうとしたのに、社内外の反発でうまく進まず、結局は今までのやり方を強めるだけになってしまった。そういうご相談を受けることがあります。
このときに考えたいのが、一度に起こそうとしている変化の大きさです。大きな変化を何とか通そうとする前に、小さな変化を日常に組み込めないか、というお話です。
事例の派手さより、小さく変われたことに注目する
2021年版の小規模企業白書を読んだとき、事例をどう受け止めるかが大事だなと感じました。新型コロナの影響で売上が落ちた中で、何をしたかという事例がいろいろ載っていたんですね。
例えば、地元の精油を使ったオリジナルの香りを作ってほしいという旅館からの依頼に応えた話。タクシー会社が、テイクアウト商品の配達や薬の受け取りなどをするサービスを始めた話。ヨガ教室で、パソコンやスマートフォンは使わないおばあちゃんがDVDは見ていることに気づき、DVDを作った話などです。
読んでみると、「それはうちでも考えた」「ちょっとしたところからつながったんだね」と感じるかもしれません。いかにもセミナーで紹介されそうな、驚くような話ばかりではありません。
そこで見ていただきたいのは、会社の中で小さい変化を作り出せていること自体です。これをそのまままねすればいい、という受け止め方とは少し違います。
私が読んだ範囲では、事業全体に対してどのくらいの成果なのかまでは分からないものもありました。まだ売上の数パーセントという場合もあるかもしれません。それでも、何か問題が起きたときに、少しでも変われたところに注目したいんです。
大きく変わろうとして止まったなら、変化の量を見直す
うまく会社を動かせなかったというご相談で、多いと感じるのは、かなり大きく変わろうとして失敗したケースです。
販売する商品を思い切り絞り込もうとしたり、組織を大きく変えようとしたりする。そこで反発が起き、結局は元に戻って、「今までやってきたことを、もっと強くやろう」となってしまうんですね。
この状態で、大きな変化を成功させることだけを目指すのは、いったんやめた方がいいと思います。会社を作っているのは人です。人は、今の状態から変わることに不安を感じます。
会社が長く続くと、「この雰囲気が好き」「この商品が好き」「この文化が好き」という人も集まります。今の会社を好きな人がいる中で、それを大きく変えると言えば、抵抗が起こることもありますよね。
反対されたのは、変わること自体ではなく、一度に変えようとした量が大きすぎたからかもしれません。そこを分けて考えてみていただきたいんです。
大きな変化への反発を見て、この会社は何も変えられないと考えてしまうと、次の動きも取りにくくなります。まずは小さな要望に応える、少し売り方を変えるといったところから考えてみます。
社内の小さな提案を受け入れ、日常の仕事へ戻す
社内から「こんなふうに変えてみたらよかったです」という話が上がったとき、それを受け入れて業務の進め方を変える。お客様からのちょっとした要望に、きちんと応えてみる。そういう小さな変化に寛容な会社が、動けているのではないかと私は感じました。
派手な事例には見えなくても、その裏には、書かれていない苦労や、さらに細かな変化があると思います。たまたま一つ当たったというより、受け入れられる柔軟性があったのではないか、というのが私の印象です。
小さな変化を拾って当たり前にし、それを何度も繰り返せる状態を目指してください。気がついたら、ずいぶん遠いところまで来ていた、という形ですね。
経営者や管理職の方には、そういう方向を目指していただきたいですし、従業員の方も、そのような会社にしていくという考え方を持てるといいと思います。
変化への怖さを減らすには、毎回大きな提案をするより、日常に小さな変化を組み込んでいく。どのくらいの大きさなら自社で受け入れられるのかを知ることも大切です。
今の業種だけでなく、自分たちにできることから考える
もう一つ、私がよくお伝えするのが、今やっていることだけでなく、自分たちにできることに着目する、という話です。
今の事業だけに縛られると、「私たちは何々業だから、これとこれしかできない」という考え方になり、選択肢が狭くなります。
そうではなく、会社としてこういうことができ、こういう技術がある。従業員の中には、こういうことができる人や、こういう経歴の人もいる。そうやって、できることを見ていくんですね。
業種の名前から考えるより、人や会社が持っている力から考えた方が、次にできることのヒントを見つけやすくなります。小さく変えてみるための選択肢も、そこから見えてくると思います。
外から大きな変化が来たとき、環境がよくなるのを待つだけでなく、何かしら変えられる会社でありたいですよね。そのために、一つひとつの変化をあえて小さくしながら、日々の中で繰り返していく。自社ならどんな変化を受け入れられるか、という観点で考えていただければと思います。
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