第280回:[前半]中小企業がアフィリエイト広告を考える時に気をつけるべきポイント
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、中小企業がアフィリエイト広告を考えるときに、最初に押さえておきたい前提を整理します。知り合いが成果を出している、昔はよく聞いた、今でも相談が来る。そういうテーマではあるのですが、私は少なくとも管理し切れない会社には勧めにくいと考えています。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- アフィリエイト広告は、今のマーケティングで重視される「売り手と買い手の距離を縮める流れ」と逆向きになりやすいと分かる。
- 売れるのは案件に深くコミットする一部であり、何となくバナーを貼るようなやり方はもう厳しいと整理できる。
- 顧客との最初の接点を自社で制御しにくいため、信頼形成が難しくなると理解できる。
- 不適切な表現が出たときは、任せた側の管理責任が重くなるので、安易に始めるのは危ういと見えてくる。
アフィリエイト広告の仕組みと誤解
まずアフィリエイト広告は、自社の商品やサービスを、自社ではない第三者の媒体で紹介してもらい、売れたり資料請求につながったりしたら報酬を支払う仕組みです。ブログやサイト、時にはSNSなどの媒体が窓口になり、広告主は案件と条件を用意し、間にASPが入ることも多い。仕組みとしては分かりやすいのですが、この分かりやすさが逆に誤解を生みやすいところでもあります。
昔の延長線では見誤る
私自身、2000年ごろにトランペットのブログでアフィリエイトを試した経験を語っています。中古の楽器がたまに売れて、ちょっとしたバイト代の足しになった。そういう実感があるからこそ、仕組み自体は理解している。ただ、その頃の「個人がコツコツお小遣いを稼ぐ世界」のイメージで今を見ると、現状を見誤ります。いまは個人が何となく貼って売るというより、チームや法人で案件を回す世界にかなり寄っています。
売り手を外部に預ける構造
この仕組みでは、作り手と売り手が分かれます。商品を作る側が、自分たちではない誰かに売ってもらう。そのため、商品理解や温度感が十分に伝わらないまま紹介が行われる可能性があります。ここが、単なる販路拡大に見えて、実はかなり大きな分岐点です。
今のマーケティングと逆向きになる理由
いまのマーケティングで強く求められているのは、作り手と買い手の距離を縮めることです。商品そのものの性能だけでなく、背景や思い、改善の積み重ね、使う人との関係まで含めて価値を作っていく流れがあります。ところがアフィリエイト広告は、そこに第三者をはさむことで、この距離を広げやすい構造を持っています。
ファーストコンタクトを自社で持てない
一番大事な最初の接点を、自社でコントロールできません。誰が、どんな言い回しで、どんな文脈で商品を見せるかが、自社の外側に置かれるからです。しかも、よく売る人ほど忙しく、多くの案件を抱えがちです。ひとつひとつの商品に深く入り込む余裕は限られます。結果として、最初の印象が自社の望む形にならないまま広がる危険があります。
背景や文脈が薄まりやすい
本来は、なぜその商品が生まれたのか、どんな課題をどう解決するのか、どういう人に向いているのかといった文脈まで含めて伝えたいはずです。ところが、アフィリエイト広告ではそうした厚みが削られやすい。今の時代に必要な「関係性を育てる売り方」とは、どうしてもズレやすくなります。
売れる人だけが残る市場
では、アフィリエイト広告でまったく売れないのかといえば、そうではありません。ただし、売れるのはかなり限られた層です。
深く調べる側だけが成果を出す
実際に成果を出しているのは、案件や業界に深く入り込み、調べて、場合によってはインタビューまでして、相手のことを理解したうえで売っていく側です。これはもう、単なる個人の小遣い稼ぎではなく、かなり事業に近い動きです。そういう相手と組めるなら販売チャネルとして意味はありますが、それは誰にでも開けば回るという話ではありません。
何となく貼るやり方は沈む
なんとなく紹介文を書き、なんとなくバナーを置き、検索で上に出れば売れる、という段階はもう厳しい。そんな形では売れないし、売れないだけならまだしも、その後に出てくるリスクの方が重くなります。だから「知り合いがうまくいったから自社でも」という入り方は危ないのです。
放置できない法的リスク
前半の最後で強く出てくるのが、法律と管理の問題です。特に健康食品などの分野では、行き過ぎた表現や根拠の乏しい訴求が問題になってきました。
不適切表示はブランドを傷つける
私は、2018年に話題になった健食系の事案を引きながら、根拠のない派手な訴求が実際に出回っていたことに触れています。しかも、そうした広告は昔の話ではなく、いまでもスマートフォン広告などで見かける。つまり、現場は今も決してきれいではありません。
任せっぱなしでは済まない
こうした状況で、紹介の仕方を十分に管理できないまま案件だけ解放するのは危険です。売れればよいでは済まず、変な表現や誤解を招く訴求が出たときに、自社の信頼を削る可能性があります。ここまでを踏まえると、少なくとも管理できない会社が軽く試す手段ではない、という結論はかなり自然です。
まとめ:安易に乗る前に考えること
アフィリエイト広告は、販路を増やす便利な仕組みに見えます。ただ実際には、売り手と買い手の距離を広げやすく、今のマーケティングの方向性とはぶつかりやすい手段です。さらに、成果を出せる相手は限られ、任せ方を誤ると信頼や法務の面で自社に跳ね返ってきます。
だからこそ、中小企業がまず考えるべきなのは、自社で顧客との接点をどう作り、どう深めるかです。もしアフィリエイト広告を検討するにしても、その前提として、誰に任せるのか、どこまで管理できるのか、そもそも今の自社の売り方に合うのかを冷静に見ないといけません。安易に乗るより、自社の信頼をどう作るかを先に考える方が、はるかに健全です。
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