第491回:うまくいった仕事の「なぜ」を聞き出し、判断の仕方を社内で引き継ぐ
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今月は目標を達成できた、良いページができた。結果を振り返ることは、皆さん自然とやっていると思います。ただ、次の仕事をもっと良くしたり、チームに経験を残したりするには、もう一歩踏み込んでほしいところがあります。
それは、その結果が生まれたプロセスです。何をしたかに加えて、なぜそれをしたのかまで振り返る。ここを自分たちのものにできるかどうかで、経験の積み上がり方が変わってきます。
同じ仕事をしているつもりでも、毎回違うことをしている
たとえば、お客様の声を月に一つ作っているとします。先月はそれほど反響がなかったけれど、今月はSNSで見てもらえた。サイトの中でも、そのページへ進む人が多かった。読み終わってすぐ去る人も少なかった。毎月の仕事の中にも、うまくいったときと、そうでないときがありますよね。
そこで、季節のせいかな、業界の状況が違ったのかなと大ざっぱに捉えて終わると、なかなかノウハウが残りません。季節の影響もあるでしょう。ただ、その季節を考えて、インタビューする相手を変えたのかもしれないんです。
事前の準備が違ったかもしれませんし、お客さんへ聞く内容や順番が違ったかもしれません。自分では同じルーティンをこなしているつもりでも、実際には毎回、小さな判断や行動が変わっています。
その違いを思い出して、これが良かったのかもしれないと認識することが大事です。「今回は何となくうまくいきました」で終わらせるのは、もったいないと思います。
特にチームなら、複数人が並行して試行錯誤できるという強みがあります。でも、それぞれの経験が本人の頭の中だけに残っていたら、ほかの人は分かりません。ページを一本作った、アクセスが増えたという結果だけの報告では、その強みを十分に生かせないんですね。
手順の記録に、「なぜそうしたか」を加える
プロセスを振り返りましょうと言うと、何をしたかを順番に書けばいいのか、と考える方もいます。それも必要ですが、手順だけでは足りません。その行動を選んだ理由まで思い出してみてください。
たとえば、前回のアンケートではこの順番で聞いたけれど、今回は順番を変えた。書いてもらった後に、ある回答についてもう一度聞いてみた。行動の中でも、どの部分が気になって質問を足したのか。そこに、自分でもはっきり意識していない工夫があることがあります。
なぜそうしたのかと考えると、「以前、この聞き方をしたらこういう答えが返ってきたから」「あの人が話していたこととつなげて聞いたら、何か分かると思ったから」と、背景が出てきます。
行動の後ろにある理由を言葉にすると、本人の中に隠れていたノウハウが見えてきます。何をしたかだけでは伝わらなかった勘どころが、そこで共有できるようになるんですね。
私はお客さんとのやり取りでも、なぜそのやり方にしたのかを聞くことがあります。ただ、言い方によっては、責められていると感じさせてしまうので、トーンは気をつけた方がいいです。まずは自分自身に、あのときなぜそうしたのだろうと問いかけるところからでいいと思います。
理由が分かると、別の仕事にも使いやすくなる
成功事例やセミナーを聞いて、「この会社はこうして成功した」と理解したつもりなのに、自分たちの場合はどうすればいいのか分からない。そういう経験はないでしょうか。
やったことだけを見ていると、同じ条件でなければ応用しにくいんです。その会社がなぜその行動を選んだかまで分かると、自社では違う形で試せそうだという見方ができます。
バナーを作るときも、「まずこれを考えてください」という指示だけより、「こういう理由があるので、ここから考えます」と説明された方が、意図をつかみやすいですよね。
理由を共有することは、同じ手順を繰り返すだけでなく、別の場面で判断できるようにすることです。あの仕事で使った考え方は、こちらにも使えるのではないか。そういう広がりが、組織の財産になっていきます。
うまくいく金型が一つあるだけでなく、なぜその金型にたどり着いたかまで分かっていれば、別の良い金型も作れる。そんなイメージです。毎回、偶然の当たりを探す状態から、再現できる部分を増やしていきたいんですね。
新しく入った方への教育でも、同じです。「この順番でやってください」だけでなく、「こういう理由で、このようなものを作りたい」と伝え、考えてもらう。その方の良さを生かしながら、会社が積み上げたものを受け継いでもらいやすいと感じています。
忘れる前に振り返る時間を、仕事の中へ入れる
ただ、なぜその判断をしたのかは、後から思い出そうとしても、なかなか出てきません。次の仕事が待っているからと振り返りを飛ばすと、少し時間がたっただけで、背景を忘れてしまいます。
だから、ポイントごとに振り返ることをお勧めします。マネージャーの方であれば、各自の気持ちに任せるだけでなく、そういうことをする時間を、仕事の仕組みに入れてしまった方がいいと思います。
成果物ができたところで終わらず、その判断に至った理由を残すところまでを、一つの仕事として考えてください。結果の良し悪しも見ますが、次へ持っていけるものがあるかという観点も必要です。
私が、一緒に解決策を考えるプロセスを大事にしたいと思うのも、そこに理由があります。答えだけを出してしまうと、相手の会社が自分たちで考え、学ぶ機会が残らないことがあります。一緒に考える経験まで共有することに意味があるんですね。
何をしたかだけでなく、なぜそれをしたのか。まずは、最近うまくいった仕事について、自分に問いかけてみてください。そこから引き出せるものを、次の成果と周囲の人につなげていただければと思います。
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