第344回:Z世代と区切る前に、お客様が置かれた環境と選ぶ負担を見る
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
「Z世代はこう考えるから、この売り方が必要です」という話を聞くことがあります。逆に、自分たちのお客様はその世代ではないから、気にしなくていいと思うこともあるかもしれません。
私は、どちらもそのまま受け取らない方がいいと考えています。世代の名前で区切るより、同じ時代を生きている人たちに、どんな変化が起きているかを見たいんですね。
世代の名前だけで、行動を決めつけない
Z世代の特徴として、時間を効率よく使いたいという「タイパ」や、動画の倍速視聴が挙げられます。でも、そういう行動は、若い人だけのものではありません。
私自身も、情報を集めるためにニュースなどを見るときは、速度を上げることがあります。倍速で二回、集中して見たいという場合もあります。
ただ、ドラマや映画は、基本的に倍速では見ません。作った人が想定した時間の流れで受け止めたい、という考え方も、自分の中にあるんですね。
一人の中にも、便利さを使いたい気持ちと、それまでに積み上げた価値観が両方あります。生まれた年代だけで、どちらかに分けられるものではないと思います。
年齢による違いを考えるにしても、どんな環境や価値観に触れてきたかを見る方が、私には自然に感じられます。「その世代ならこうだ」「その世代ではないから関係ない」という受け止め方は、見落としを作ってしまうのではないでしょうか。
全部を比べきれない感覚は、若い人だけのものではない
時間を効率よく使いたくなる背景には、情報や選択肢が多すぎることがあると思います。何かを解決してくれそうなものや、興味を引くものが無数にあるんですね。
私がそれを実感したのは、越谷のレイクタウンへ行ったときです。もともと東京に住んでいましたから、大きな商業施設に慣れていなかったわけではありません。でも、あそこでは「これはもう無理だ」と感じました。
ジーンズを一本買いたい、秋物の服を何枚か買いたい。そのときに、あの広い空間の中から、自分にとって一番いいものを見つけるのは無理だと思ったんです。
それまでは、いろいろ回って一番いいものを買おうとしていました。でも、圧倒的な広さを前にすると、全部を比較することを諦める。その感覚がありました。
選択肢が増えれば、比較して決めるための時間や負担も増えます。ネット上でも、同じように「全部を比べるのは無理だ」と感じているのではないかと思います。
いろいろ調べたのに結局決まらず、時間を無駄にしたと感じる。そういう経験は、年代に関係なくあると思うんですね。
情報を出しただけで、相手が理解してくれると思わない
このように考えると、売り手としては、情報を出しました、必要なことは載っていますから自分で調べてください、という姿勢では難しくなります。
相手に必要なものだからといって、いろいろ読み比べ、解釈してもらえるとは限りません。こちらから、受け取りやすいように整える必要があります。
相手に合わせて、消化しやすい情報にして渡すことを考えてください。ホームページのコンテンツでも、実際に会って説明するときでも同じです。
もう一つは、何を買うかだけでなく、誰から買うかを考えることです。「この会社のものなら安心できる」「この担当者が言うことなら、大きく外れないだろう」と思ってもらえる関係ですね。
自分と感覚が近い人が選んだものなら、よさそうだと思うこともありますよね。細かなスペックを全部比べて選んでもらうだけでなく、会社や担当者への信頼を強めることも、選びやすさにつながると考えています。
自分と周りに、選んだ理由を説明できるようにする
お客様は決めたいけれど、選択肢が多くて決められないことがあります。さらに、決めるのは自分だけの問題ではない場合もあります。
会社なら、「なぜそれにしたの」と上司に聞かれたり、稟議書で説明したりする必要があります。自分も納得し、周りにも説明できなければいけないんですね。
商品やサービスと一緒に、お客様が自分と周りを納得させられる理由も渡せるようにしておきます。全部を自分で比較すれば自然に分かるでしょう、で済ませないということです。
調べている間にも、新しい選択肢が出てくるかもしれません。いつまでも比較を続けていたら、仕事が終わらない。そういう中で、現時点でなぜこれが合うかを伝えることが、判断を助けると思います。
今の環境に自分がいたら、どう動くかを考えてみる
若い人の映像コンテンツの楽しみ方について読んだとき、私には、それほど違うように感じられませんでした。好きなものを見ることもあれば、人と話題を共有するために見ることもありますよね。
私が若い頃は、古本屋で面白そうな本をたくさん買ったり、レンタル店で旧作のDVDをまとめて借りたりしていました。当時から今のような定額のサービスがあったら、私もそちらを使っていたと思います。
生まれた年だけで違いを説明する前に、置かれている環境の違いも考えてみてください。これは私自身の感じ方ですが、世代を分けるより、共通するものが見えてくると思います。
人は、生まれた後もいろいろな価値観に触れて、その土台を作っていきます。自分たちのお客様が、どんな環境で何を大事にしているか。そこから情報の渡し方や、選びやすさを考えていただければと思います。
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