第314回:アクセス解析のデータを使えば商圏分析も可能?
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- アクセス解析だけで商圏分析をしようとする時の限界が分かる
- 年齢、性別、地域データをどの程度信じるべきか整理できる
- 商圏を見るなら、政府統計と現場データを組み合わせる発想が分かる
アクセス解析を見ていると、年齢、性別、地域など、かなり細かいことまで分かるように見えます。すると、それをそのまま商圏分析に使えるのではないか、と考えたくなります。ただ今回の結論はかなり、アクセス解析から得られるデータだけで精度の高い商圏分析をするのは難しい、というものです。
アクセス解析の属性データは参考値にとどまる
Google アナリティクスなどに出てくる性別や年齢、興味関心の情報は、確定情報ではなく推測を多く含んでいます。Google アカウントにログインしている場合の情報もありますが、それ以外は行動履歴や閲覧傾向から類推している部分が大きく、精度を過信しない方が安全です。
広告運用の中でざっくり比較し、反応差を見る使い方なら意味があります。しかし自然検索や通常のアクセス全体を見て、「女性が多いからデザインをこう変えよう」といった大きな意思決定をするには、根拠として弱い場面が少なくありません。
地域情報も粒度には限界がある
地域についても、IP アドレスなどから大まかな推定はできますが、分かるとしても市区町村レベルが中心です。しかもずれることもあります。町名や細かな生活圏を正確につかめるわけではありません。商圏分析に使うには、欲しい粒度に対して粗すぎることが多いのです。
商圏分析に向くのは、もともとデータを持っている側の情報
では Web では何もできないのかというと、そうではありません。見るべき場所が違います。商圏を考えるなら、アクセス解析ではなく、もともと地域や世帯に関するデータを持っている側の情報を使う方が筋が良い、ということです。
今回の中で挙がっていたのが、政府統計を使えるツールです。こうしたデータを使えば、徒歩圏内にどのような世帯がどれだけあるか、住宅地なのかオフィス街なのか、家族構成や地域特性がどうなっているかを把握しやすくなります。
周辺の人を知ることが、商圏の出発点になる
商圏分析では、「Webサイトに来た人」が誰かより、「来る可能性がある周辺の人」がどんな人かの方が重要です。たとえば店舗の徒歩圏、車での来店圏にどのような層がいるかが見えれば、チラシの投函先、DM の配布範囲、店づくりやサービス設計まで考えやすくなります。
小さなお子さんが多い地域ならキッズスペースの発想につながるかもしれませんし、オフィス街なら時間帯や訴求内容も変わってきます。商圏分析とは、集客チャネルだけでなく、商品やサービスの設計にも返ってくるものです。
現場の顧客データと組み合わせて初めて効く
統計データだけで終わらせず、実際のお客さまがどこから来ているかを重ねて見ると、判断の精度は上がります。会員情報や来店時のヒアリングなどを通じて、「思ったより遠方から来ている」「意外と近隣に集中している」といった実態が見えてくるからです。
そこから、駐車場の重要性、看板の必要性、近隣向け告知の強化、出店候補地の見直しなど、具体的な施策へつなげられます。アクセス解析だけでは見えにくい判断材料が、現場データとの組み合わせで立ち上がってきます。
これから先は、取れるデータより関係性が重要になる
プライバシー規制の流れを考えると、今後アクセス解析で取れる情報が劇的に増える方向は期待しにくいはずです。むしろ追跡は厳しくなり、使えるデータはさらに限定されていくと考えた方が自然です。
そうなると重要になるのは、統計データを使いこなす力と、日々の現場でお客さまから好意的に情報を集められる関係づくりです。便利な近道より、良いサービスと良い関係の積み重ねの方が、結局は強い基盤になります。
まとめ:商圏を見るなら解析の考え方・方向性を変える
アクセス解析の属性データは、商圏分析の主役にはなりにくいものです。年齢、性別、地域の表示があっても、それだけで細かな生活圏や商圏の実態を読み切るのは難しいからです。
商圏を本気で見たいなら、地域統計のような土台となるデータと、自社の現場で集めた顧客データを組み合わせる方が現実的です。そのうえで、Webサイト、チラシ、店舗設計、出店判断までつなげていく。商圏分析は Web だけで完結させるものではなく、Web を含む経営判断として扱うのが本筋です。
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