第285回:生物の歴史から考える、これからの企業が生き残るために必要な姿勢と行動
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、生物の歴史に学びながら、これからの企業が生き残るために何を持つべきかを整理します。結論を先に言えば、単一の売り方や単一の事業に賭けるのではなく、社内に多様性を持ち、日常的に新しい事業の種を育てていく姿勢が欠かせない、という話です。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- コロナ後に元の世界へ戻る前提ではなく、次の大きな変化が来る前提で事業を見る必要があると分かる。
- 生物が生き延びてきた理由として語られる「多様性」が、企業にもそのまま当てはまると整理できる。
- 多角化は大げさな新規事業ではなく、まずは社内で事業の種を貯め、育てる習慣から始められると見えてくる。
- 何を売るかではなく、なぜそれをやるのかという根っこから考えることで、多様性のある展開が作りやすくなる。
変化が前提になる経営
まず押さえておきたいのは、コロナが落ち着いたら前と同じ世界に戻る、と考えない方がいいという点です。消費活動が一部戻ることはあっても、人と人との接触が難しくなる出来事や、大きな災害、社会全体を揺らす変化は、これからも起こりうる前提で見なければいけません。
一度の危機で終わらない前提
今回の話では、コロナだけを特別視していません。地震や噴火のような自然災害も含めて、事業は常に大きな変化にさらされるものだと捉えています。だから経営者にとって必要なのは、平時を固定的に守ることではなく、次の変化が来ても残れる形を作ることです。
その場しのぎではなく構造で備える
一時的な販促や一発の施策で乗り切るという発想では、次の波が来たときにまた振り回されます。必要なのは、変化そのものを前提にした事業の組み立てです。この前提を持つと、今の主力だけを磨けば十分という考え方から、一歩離れやすくなります。
生物史が示す多様性
ここで、生物の歴史を引き合いに出します。地球では、生物が絶滅してもおかしくない変化が何度も起きてきた。それでも今までつながってきた理由の一つが、多様性だという考え方・方向性です。
単一の強さだけでは残れない
もし生き物が単一の性質しか持っていなければ、環境が変わった瞬間にまとめて終わってしまうんですよね。暑さに弱い、寒さに弱い、乾燥に弱い、そのどれか一つに全てを寄せていたら、どこかで途切れてしまうからです。企業も同じで、一つの条件が崩れたら止まる構造は、平時は効率的でも危機には弱くなります。
ラーメン店の例にある発想の広げ方
分かりやすい例として、店頭でラーメンを売るだけの店を考えると、接触しにくい状況になった途端に厳しくなります。けれど、通販に広げる、作り方をオンラインで教える、麺やスープ作りの知見を別の商品や別の事業へ転用する、と考えれば、同じ会社の中に別の生き残り方が生まれます。ここで大事なのは、いきなり全部を本業化することではなく、そういう方向が社内にある状態を作ることです。
事業の種を育てる習慣
多様性を持つというと、すぐに複数の事業部を立ち上げる話のように聞こえるかもしれません。ですが、この回で勧められているのは、もっと現実的なやり方です。
まずは種を捨てない
中小企業にとって、今すぐ大きな新規事業へ人もお金も振るのは簡単ではありません。だからこそ、日々浮かぶ小さなアイデアを流してしまわず、記録し、見返せる形にしておくことが重要です。クラウドでもホワイトボードでもいいので、事業の卵を置いておき、少しずつ栄養を与える感覚です。
定期的な見直しが視点を変える
週や月に一度でも、その種を見返して、これに何を足せるかを考える時間を持つと、世の中の見え方が変わります。株を持つと業界のニュースに敏感になるのと似ていて、事業の種を持つと、日々の出来事が全部ヒントに見えてきます。危機に備えるだけでなく、会社全体の見る力も上がっていくわけです。
多様性を生む起点はホワイ
ただし、種を増やそうとしても、いきなり売るものから考えると、今の延長しか出にくくなります。そこで私が勧めているのが、ホワイから考えるというやり方です。
ワット起点では枝が増えにくい
何を売るかから入ると、どうしても「今の商品の別バージョン」や「今のサービスの少し違う形」に寄りがちです。しかも伝え方も、自分たちはこれをやっています、頑張っています、という企業都合の説明になりやすい。お客さまが知りたいのは、努力の宣言ではなく、自分にどういう意味があるかです。
根っこから考えると展開が広がる
そこで出てくるのが、ホワイ、ハウ、ワットの順で考えるゴールデンサークルの話です。たとえばアップルの例のように、最初に「現状に挑戦する」「他とは違う考え方をする」という信条があると、その先に出てくる商品はコンピューターでもスマートフォンでも筋が通ります。企業として何のために存在しているのかが見えると、商品やサービスの広がりにも無理がなくなります。
新しい事業の種を育てるときにも、ここが曖昧だと単発の思いつきで終わりがちです。逆に、なぜ自分たちがそれをやるのかが共有されていれば、多様性はただの分散ではなく、その会社らしい広がりになります。
まとめ:多様性は平時に育てる
これからの企業に必要なのは、平時の効率だけを追いかけることではなく、次の変化が来ても残れる構造を平時から作っておくことです。その中心にあるのが、多様性です。単一の売り方、単一の接点、単一の事業だけに依存しないようにすることが、危機への強さにつながります。
そして多様性は、いきなり大きな新規事業を始めることではなく、日々の中で事業の種を見つけ、記録し、育てることから始まります。そのとき、何を売るかより先に、なぜ自分たちが存在しているのかというホワイを掘ることが重要です。そこまでできると、多様性は場当たり的な寄せ集めではなく、会社を生き残らせる力になっていきます。
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