第278回:事業再構築補助金は使わなくてもブレストのネタとして使うべし
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- 事業再構築補助金を申請しない場合でも、経営の棚卸しと発想転換の材料にできる。
- 電子化が一気に進む流れの中で、中小企業が外せない前提を押さえられる。
- 自社の強みを文字だけでなく、もっと大きな発想で捉え直す方法のヒントが得られる。
補助金の話になると、どうしても「使うか使わないか」だけで終わりがちです。しかし本当に価値があるのは、その制度が投げかけている問いの方かもしれません。今の事業を続けるだけでよいのか、自社の資産を別の形で使えないか。そうした問いを強制的に考えさせてくれるからです。
今回は、電子契約の広がりと事業再構築補助金という二つの話題を入り口にしながら、中小企業が今どんな前提で動くべきか、そして補助金をどう思考の材料に変えるかを整理します。
変化は思った以上に速い
まず押さえたいのは、電子化の浸透が想像以上に速いことです。電子署名やオンライン提出の仕組みは、以前よりずっと受け入れられやすくなっています。これまで紙や対面が前提だった手続きも、少しずつネット経由へ移っています。
この流れの意味は大きく、単に便利になるというだけではありません。間に入っていた工程や役割が、どんどん減っていくということでもあります。送る、確認する、保管する、受け取る。その一つひとつのコストが下がれば、従来のやり方にしがみつく理由は弱くなります。
だから、まだネットやデジタルへの苦手意識が強いなら、早めに分解しておくべきです。感情的に苦手なのか、操作が苦手なのか、過去の嫌な経験が残ったままのか。原因をほどいていかないと、これから先の変化についていけなくなります。
補助金は資金調達だけでなく思考実験のきっかけ
そのうえで、事業再構築補助金の話です。この制度は、単なる販促費の足しではなく、業種や業態の転換を含むレベルの再構築を後押しする前提で作られています。補助額の大きさが注目されますが、もっと面白いのは、その活用イメージが自社の発想を揺さぶってくれることです。
たとえば、飲食店のテイクアウトのような延長線上の案は思いつきやすいでしょう。しかし、例として出てくる中には、ガソリンスタンドがフィットネスジムを始めるような、かなり大きな飛躍もあります。実際にそれをやるかどうかは別として、国はそのくらいのジャンプも視野に入れているということです。
ここに価値があります。申請しないにしても、このレベルの問いを自社に投げるだけで、見えてくるものがあるからです。
大きく跳ぶには、今ある資産を掘り直す必要がある
そうした発想が出てくる会社と、表面的な横展開だけで終わる会社の違いは、今ある資産をどこまで見えているかです。資産と言っても、お金や設備だけではありません。社内の誰が何を得意としているのか、どんなつながりがあるのか、どんなお客さんに安心して受け入れてもらえるのか。そうしたものも立派なアセットです。
会社が今まで続いてきたということは、偶然ではない何かがあるはずです。ただ、多くの会社はそれをうまく言葉にできていません。Webサイト用の強み分析を一度やったくらいでは、顕在化している部分しか出てこないことが多いからです。
本当に必要なのは、もっと深い棚卸しです。今のお客さんに評価されていることだけではなく、自分たちが続けてこられた理由、社内に眠っている人の経験、周囲との関係性まで含めて見ていくこと。その中から、新しい柱につながる種が見えてきます。
文字に閉じず、絵で広げる
このとき、いきなり文字だけで考えすぎない方がよい場面があります。文字にすると、今ある言葉に引っ張られてしまうからです。もっと大きく飛ぶには、頭の中のぼんやりした像を、絵や図や雑なメモでいったん外に出す方が向いています。
ホワイトボードにぐちゃぐちゃと書く、手を動かして関係を描く、なんとなくのイメージを図にしてみる。そうすると、自分では分かっているつもりだったものが、実は曖昧だったと気づけます。逆に、文字では出なかったつながりが見えてくることもあります。
補助金の活用イメージを眺めながら、「もし今の商売をしていなかったら何をやるか」「この資産を別の入り口に変えるとしたら何か」と考えるだけでも、かなり良いブレストになります。答えを出すことより、視点をずらす練習として価値があります。
Webを使う会社ほど再構築の練習が要る
とくにWebを活用している会社ほど、この練習は重要です。顕在化した悩みやニーズは、すでに多くの会社が取りに行っています。既存の問題を解く人は増えている一方で、新しい論点を作れる会社はまだ多くありません。
だからこそ、自社をいったん解体して見直す訓練が効きます。自分たちは何業か、何を売っているか、といった今の枠に閉じず、もっと一段上から生活や仕事の変化を見て、自社はどこに入れるのかを考える。その練習台として、事業再構築補助金はとても使いやすい題材です。
まとめ:補助金の前に発想の再構築
事業再構築補助金は、申請するかどうかだけで判断するにはもったいない制度です。むしろ、自社の資産をどう捉え直し、どこまで飛べるかを考えるための材料として使う価値があります。
電子化が進み、環境変化が速くなる中では、今の事業名や商品名にしがみつくより、その奥にある強みや関係性を掘り起こしていく方が重要です。補助金を使わなくても、その問いを社内で回すだけで、次の一手の精度はかなり変わってきます。
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