第508回:情報過多のWeb業界で私が考える情報選定の基準とは?
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、情報過多になりがちなWeb業界で、私が「どの情報を取り、どの情報を距離を置くか」を決めるときの基準を整理してお話しします。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
情報を取りこぼさないことよりも、頭と時間を守りながら必要な情報を選び取るための「判断の軸」が分かります。特に、情報源の入口を絞る考え方と、信頼しやすいメディアの条件、無料情報との付き合い方、そして検証のしかたを、私の実感ベースでまとめます。
- 情報の入口を絞る理由と、絞るときの考え方
- 「信頼してよい情報源」を判断するための基準
- 無料情報を読むときに、気をつけて見ているポイント
- 一次情報とキュレーション(まとめ)の関係を、どう捉えるか
- 取りこぼし前提で、必要な情報を拾う仕組みの作り方
情報の入口を絞るのは、取りこぼしより「消耗」が怖いから
情報が多すぎると、目に入ったものがそのまま頭に残ってしまうことがあります。はっきり覚えている情報だけでなく、なんとなく心の奥に引っかかって、気づかないうちに脳のリソースを使ってしまうものもあります。
だから私は、情報の入口を基本的に絞る方向で運用しています。取りこぼしは当然出ますが、それ以上に「入れすぎて消耗する」ほうが、長い目で見ると損が大きいと感じているからです。
具体的には、紙媒体も含めて入口を限定しつつ、RSSリーダーを使って受け皿を整えています。今はFeedlyを使っていますが、昔はGoogle Readerがあって、livedoor Reader(のちに運営が変わって名前も変わったもの)なども使っていた時期がありました。
きっかけのニュースから見える「一次情報」と「まとめ」の緊張感
今回のきっかけとして触れておきたいのが、NewsPicks(運営:株式会社ユーザベース)が著作権侵害に関して謝罪のリリースを出した件です。
2024年2月29日付で「報道機関・メディアの皆様へのお詫びとお知らせ」が公表され、2023年秋に指摘を受けていたことや、アプリ・ウェブ内の一部で許諾を得ていない写真等の利用があった旨が説明されています。
NewsPicksの編成に関する、報道機関・メディアの皆様へのお詫びとお知らせ – NewsPicks | 株式会社ユーザベース | Uzabase,Inc.
私自身はメディア業界の当事者ではありませんし、大手メディアのコンサルティングをしてきたわけでもありません。
けれど、情報を摂取する一人の人間として眺めると、この出来事は「一次情報を出す側」と「それをまとめて届ける側」の関係が、以前より繊細になっていることを示しているように思えました。
背景には、一次情報を作る側のマネタイズが難しくなっている問題もあるはずです。売上が十分に立っていて、拡散やまとめがきちんと還元される仕組みが回っていれば、関係はまた違った形になっていたかもしれません。
けれど現実には、そこが成り立ちにくくなっているからこそ、摩擦が表に出やすいのだろうと感じます。
なお、NewsPicks側はその後、2024年4月25日付でサムネイル画像の削除対応や表示仕様の修正対応が完了した旨も案内しています。
この回では是非の結論を急ぐよりも、「情報の流れ」と「収益の流れ」がズレると関係が歪みやすい、という点を受け止めるのが大切だと思っています。
私が考える、情報選定の基準
1. まず「お金の流れが読めるか」を見る
私の基本スタンスは、少し言い方が強いかもしれませんが「情報は買うしかない」と考えることです。ここで言う「買う」は、記事を読むたびに課金するという意味ではなく、継続的に情報を作り続けられるマネタイズモデルがあるかどうか、という意味です。
メディアの運営にはお金がかかります。取材にも編集にも時間が必要ですし、体制を維持するには継続的な収益が欠かせません。だから私は、購読者モデルなど、収益の仕組みが分かりやすい情報源は、判断の起点として置きやすいと感じています。
2. 無料でも「モデルが透明」なら、読み方を決めて付き合う
無料で読める情報がすべて危うい、という話ではありません。例えば、ホワイトペーパーのダウンロードや会員登録の先に続きがある形は、好き嫌いはあっても「ここでコストを回しているんだな」という構造が見えます。
営業メールが来る、場合によっては連絡が入る、といった点は負担ですが、少なくとも不透明ではありません。私は、このようにモデルが読み取れる無料コンテンツは、「そういう前提で読む」と決めて触れることがあります。
3. 不安になるのは「無料なのに、手間のかかることを大量にしている」状態
私が距離を置きたくなるのは、広告が派手に出ているわけでもなく、課金導線も薄いのに、更新頻度が高く、記事量も多く、取材もきちんとしているように見えるのに、どこからお金が回っているのかが分からないケースです。
もちろん、悪意があると決めつけたいわけではありません。ただ、資金の流れが見えない状態だと、自然と「この情報は誰の利益と結びつきやすいのだろう」と慎重になります。外部の専門家や著名人が多く登場している場合も、その人たちが無償で参加する必然性が薄い以上、何らかの意図が入りやすいと考えたほうが安全だと思っています。
4. Web系の情報は、いったん検証を前提にする
私は、いわゆるWeb系メディアの記事は、そもそも日常的に触れないものも多いです。X(旧Twitter)などでシェアする記事も、同じ方針で選んでいます。
見たとしても、鵜呑みにしないで検証します。自分で確かめられることは自分で確かめますし、難しい内容なら複数のソースを突き合わせます。「疑うこと」が目的ではなく、「信じるための条件を整える」という感覚に近いです。
5. 取りこぼしは前提にして、拾う仕組みを別で用意する
情報をすべて拾うのは無理ですし、無理をすると消耗します。半分くらいは拾えないかもしれませんが、それでもいい、と私は割り切っています。
その代わり、自分にとって本当に大事なのに気づきにくい情報を補うために、信頼できる情報源を外部に持っておくのが大切だと思います。社内で担当を決める、詳しい人に見てもらう、購読で基盤を作るなど、どれでも構いませんが、「拾う人・拾う仕組み」を意識的に作っておくと、情報過多の中でも判断がぶれにくくなります。
RSSリーダーは、今でも静かに役に立ちます
最近はRSS自体をあまり使わない方も増えましたが、私はRSSリーダーは今でも良い道具だと思っています。タイムライン型の情報摂取は、意図せず多くの情報が流れ込むので、入口を絞りたいときには扱いにくい場面があります。
RSSは「自分で選んだ発信元の更新だけを受け取る」形にしやすいので、情報過多の整理に向いています。Feedlyのように有料プランでマネタイズしているサービスであれば、この文脈では「継続する体制がある」と見やすい点も、使い続けやすい理由のひとつです。
まとめ
情報の選び方は正解がひとつではありませんし、私の基準をそのまま当てはめる必要もありません。ただ、情報過多の時代には「拾う努力」より「入口を絞る設計」のほうが効いてくる場面が多いと感じています。
私が大切にしているのは、情報源のマネタイズモデルが見えること、無料でもモデルが透明であること、そして見えないものは検証を前提にすることです。取りこぼしは前提にして、自分の時間と頭が守られる形を目指していきましょう。
関連リンク
- 報道機関・メディアの皆様へのお詫びとお知らせ(NewsPicks/ユーザベース)
- サムネイル画像仕様の修正対応完了のお知らせ(NewsPicks)
- Our March 2024 core update(Google Search Central Blog)
- Feedly(公式サイト)
- Google AdSense(公式サイト)
よくある質問(FAQ)
情報の入口を絞ると、重要な情報を取りこぼしませんか? 取りこぼしは出ますが、全部拾うのは現実的ではありません。入口を絞って消耗を減らしつつ、別途「信頼できる情報源」や「拾う仕組み」を用意して補うのが、長く続けやすいと感じています。 「情報は買うしかない」とは、どういう意味ですか? 記事ごとに課金するという意味ではなく、情報を継続的に作れるマネタイズモデルがあるか、という意味です。体制が維持できる仕組みが見える情報源は、判断の起点として置きやすいと考えています。 無料のメディアは、基本的に読まないほうがよいのでしょうか? 無料が悪いという話ではありません。ホワイトペーパーや会員登録など、モデルが透明なものは前提を理解して読むことがあります。一方で、資金の流れが見えにくい無料情報は、慎重に扱うことが多いです。 不透明な情報源を見かけたとき、どう対応していますか? 見たとしても鵜呑みにせず、検証を前提にします。自分で確かめられることは確かめ、難しい場合は複数のソースを照合して、判断の「かたより」を減らすようにしています。 RSSリーダーは、今でも使う価値がありますか? 私は十分あると思っています。自分で選んだ発信元の更新だけを受け取れるので、意図しない情報が流れ込みにくく、入口を絞りたいときに扱いやすいからです。配信スタンド
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