第485回:Gmail配信規制強化で影響を受けるケースとは?そしてそれ以上におさえるべきメールマーケの「今」
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- 「関係ある/ない」を分ける具体的な目安(Gmail宛1日5,000通)
- SPF・DKIM・DMARCなどを、配信のためだけでなく“自己防衛”として捉える視点
- 購読解除・リスト運用・メールの役割分担など、到達率を落とさない習慣
今回の規制強化で「影響を受ける」ケースの目安
発端は、Googleが2023年10月4日に出した「Gmailのスパム対策強化」の案内です。
話題になりやすいのは「購読解除ボタンを付ければいい」という部分ですが、実際はそれだけでは済みません。
まず、影響がはっきり出るのは「メールマーケティングとして、一斉配信をしている」ケースです。
日々の一対一の連絡メールまでを、急に慌てて直す話ではありません。
そして、目安として意識してほしいのが「Gmailアカウントに1日5,000通以上」です。ここでいう5,000通は、自社の総配信数ではなく、@gmail.com/@googlemail.com、あるいはGoogle Workspace環境で受け取られる宛先に届く通数を指します。
この条件に当てはまる可能性があるなら、遅くとも要件が適用されるタイミングまでに、ガイドラインに沿って整えておかないと、迷惑メール判定が増えて到達率が落ちる可能性が高くなります。
総リストが1万を超えてくると、Gmail宛が5,000通を超える場面が現実的に出てくるので、ここから先は「関係ある」と考えておいたほうが安全です。
やることは大きく2つある。攻めより先に“守り”を固める
今回の話は「送る側が売上を作るための工夫」という面もありますが、同時に「自分たちのドメインを守る」話でもあります。なりすましが起きたとき、ドメイン単位での信頼が落ちると、こちらが正しく送ったメールまで届きにくくなることがあるからです。
規模の大小にかかわらず、最低限の設定は早めに押さえておくほうが安心です。小規模だから許される、という類のものではありません。
SPF・DKIM・PTR・DMARCは「自社から出たメールです」を示すための基礎
最初に出てくるのが、SPFとDKIMです。SPF(送信を許可する送信元をDNSに公開する仕組み)と、DKIM(メールに署名して“改ざんされていない”ことを示す仕組み)ですね。
レンタルサーバーを普通に使っているなら、SPFが最初から入っていることもあります。昔から同じ環境を引き継いでいる場合は未設定のまま残ったままこともあるので、一度は確認したほうがいいです。
設定場所は、DNS(ドメインの行き先や関連情報を登録する場所)です。サブドメインを作ったり、各種サービスの所有確認をするときに触るあの画面の延長にあります。
なお、設定を間違えると、こちらが正しく送っているメールまで弾かれることが起きます。システム担当者や制作会社、サーバー会社に依頼できるなら、そのほうが安心です。
加えて、PTRレコード(逆引きDNS)やDMARC(SPF/DKIMの結果をどう扱うかを受信側に示す方針)も、まとめて整えておくと事故が減ります。今回の規制とは別に、なりすまし対策としての価値が大きいので、ここは「面倒だから後回し」にしないほうがいいところです。
Postmaster Toolsで「迷惑メール率」を見える化する
次に、Postmaster Toolsです。Gmail側で、こちらから送ったメールがどれくらい迷惑メール扱いされているか、どんな評判になっているかを確認できる場所です。
送信数が少ないと数字が出にくいこともありますが、異常が起きたときに「迷惑メール扱いが原因なのか、それ以外なのか」を切り分けやすくなります。ガイドライン上も、迷惑メール率は0.3%未満を外さないことが求められ、さらに0.1%未満を目標にする姿勢が示されています。
購読解除は「付ければ良い」ではなく、迷わせない設計が必要
今回のニュースで注目されがちなのが、購読解除です。ここで言う購読済みメッセージは、形式上のフラグの話ではなく、要はメルマガのような一斉配信だと捉えてください。
購読解除のやり方が、返信で「購読解除」と返してもらう、のような運用だと弱いです。メール本文に、はっきり分かる購読解除リンクを置き、Web上の手続きで解除が完了する形を用意しておくのが筋です。
私はメールの冒頭で「購読解除は一番下にあります」と書くこともあります。Gmailはメールが長いと途中で折りたたまれて「続きを見る」になり、解除リンクが見つからないと言われることがあるからです。
さらに、配信規模が大きい場合は、ワンクリック購読解除(List-Unsubscribe)にも対応できる状態かを確認しておく必要があります。ここは配信サービス側の実装に依存する部分もあるので、手元の運用だけで何とかしようとして消耗しないほうがいいです。
Fromのズレは、気づかないまま“詐称”になりやすい
もうひとつ、無意識にやってしまいがちなのが、From(差出人)と実際の送信経路のズレです。たとえばGmailで受信・送信しているのに、差出人だけ会社ドメインにして送ってしまうと、受信側からは「差出人が偽装されている」ように見えます。
メール配信サービスを使う場合も同様です。自社ドメイン名で送っているつもりでも、送信自体は配信サービスのサーバーから出ているので、SPFに配信サービスの情報が入っていないと、整合が取れません。
まともな配信サービスなら、SPF設定の案内が必ずあります。案内が見当たらない、あるいは設定しなくても普通に送れてしまうような場合は、仕組みとして古い可能性もあるので、一度見直してもいいと思います。
メールは今も強い。だからこそ「やらないこと」を決める
メールは距離が取りやすく、ある程度の分量をきちんと届けられる媒体です。LINEの公式メッセージは距離が近く、チャット系はもっと近いので、役割が違います。
だからメールが不要になったわけではありません。むしろ、変な送り方をすると、到達率も信頼もまとめて落ちてしまう時代になった、と捉えたほうが合っています。
リストは買わない。増やし方を間違えると負債になる
リストを買ったり、同意があいまいなまま送ったりすると、迷惑メール報告が増えます。結果として、ガイドラインの数値に引っかかり、正規のメールまで届きにくくなる流れが生まれます。
最初は10件、20件の小さなリストでもいいので、ハウスリストとして育てていくほうが、あとで困りません。届かなくていい人に無理に届けるより、欲しい人だけにきちんと送るほうが、結果が安定します。
目的の違うメールを混ぜない
ガイドラインには、同じメッセージ内に異なる種類のコンテンツを混在させない、という趣旨の注意もあります。たとえば領収や予約確認のようなメールに、プロモーションを混ぜるのは避けたほうがよい、という考え方ですね。
やりたくなる気持ちは分かりますが、メールの目的を分けるほうが、受け手の不信や迷惑メール報告を呼びにくくなります。
チェック済みのオプトインは避ける
登録フォームで、最初から購読チェックが入っていて、そのまま登録させてしまうような形はトラブルになりやすいです。わざわざGoogleが注意として書いている以上、受け手に嫌がられている行為だと考えたほうがいいと思います。
購読は、明確にメリットを示して、自分でチェックを入れてもらう。ここを丁寧にやったほうが、後からの到達率にも響きます。
やるべきことの整理
結論としてはシンプルです。Gmail宛に1日5,000通以上送る可能性があるなら、ガイドラインに沿って認証・解除・整合を整える必要があります。
そこまでの規模でなくても、SPFとDKIM(可能ならDMARCまで)を確認し、Postmaster Toolsで状況を見られるようにしておくと、いざというときの被害を抑えられます。メールは今も強い媒体だからこそ、足場を固めて丁寧に運用したいところです。
関連リンク
- New Gmail protections for a safer, less spammy inbox(Google公式ブログ)
- Email sender guidelines(Google Workspace 管理者ヘルプ)
- Email sender guidelines FAQ(Google Workspace 管理者ヘルプ)
- Set up Postmaster Tools(Google Workspace 管理者ヘルプ)
- Zoho Campaigns(メール配信サービス)
よくある質問
今回のGmail規制強化で、特に影響を受けるのはどんなケースですか? Gmail宛に1日5,000通以上送る可能性がある一斉配信です。総配信数ではなく、@gmail.com などGoogle側で受け取られる宛先に届く通数が基準になります。 SPFやDKIMは、メールマーケティングをしていなくても必要ですか? 必要だと考えています。なりすましに使われるとドメインの信頼が落ち、こちらの正規メールまで届きにくくなることがあるため、自己防衛としても押さえておく価値があります。 Postmaster Toolsは何を見るためのものですか? Gmail側での迷惑メール率や評判を確認するためのツールです。到達率が落ちたときに原因の切り分けがしやすくなり、日常的な指標としても使えます。 購読解除リンクは、どこまでやれば十分ですか? まずはメール本文に分かりやすい購読解除リンクを置き、Web上で解除が完了する形が必要です。規模が大きい場合は、ワンクリック購読解除(List-Unsubscribe)に対応できているかも配信サービスとあわせて確認しておくと安心です。 メール配信サービスを使っているのに、到達率が不安定なことがあります。何から確認すべきですか? Fromのドメインと送信経路の整合が取れているか、SPFに配信サービスの情報が入っているかをまず見ます。その上でPostmaster Toolsで迷惑メール率や評判を確認し、必要なら配信サービスの見直しも検討します。配信スタンド
- Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ) https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892
- Spotify https://open.spotify.com/show/0K4rlDgsDCWM6lV2CJj4Mj
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