第331回:テレワークに向いている?成果を出せる環境と時間管理・伝え方を見直す
テレワークのほうが楽だと感じることと、テレワークで力を発揮できることは、少し違います。通勤がなくなるのはうれしい。でも、仕事が進むのは人がいるオフィスかもしれません。働き方を選ぶときは、この二つを分けて考えてみてください。
私自身は、一人で考えてアウトプットするほうが集中できます。ただ、人と話すのが嫌いなわけではありません。お客さんとお話しするのは好きですし、そうでなければこの仕事はしていないと思います。人づきあいの好みだけで、自分に合う仕事の環境は決まらないんですね。
好きな働き方と、力を発揮できる環境を分けて考える
一人で仕事をする。大勢がいるオフィスで仕事をする。気心の知れた数人と同じ空間で仕事をする。私は、自分に合う環境を考えるときに、まずこのくらいの分け方をするとわかりやすいと思っています。厳密な人の分類ではなく、自分の経験を振り返るための目安です。
学生のころの勉強を思い出してみてください。一人で勉強したほうがはかどったのか、教室や予備校の自習室にいるほうがやるべきことを進められたのか。それとも、友達の家に数人で集まるのがよかったのか。楽しかった場所と、実際に勉強が進んだ場所は違うかもしれません。
仕事でも同じで、その環境にいたとき、集中できたか、必要な仕事を終えられたかを振り返ってほしいんです。私の場合、一人で考えると集中が続き、出来上がるまでの時間も短く、ストレスも少ない。だから一人の環境が合っていると考えています。
一方で、人がいるから頑張れる方もいます。それぞれに合う環境があるので、テレワークを進める会社が上で、オフィスで働く会社が下、という話にはしないほうがいいですね。会社として実現できる働き方の範囲も、向き不向きとは別に考える必要があります。
仕事を始める時間より、終える時間を守れているか確かめる
一人で集中できる方でも、そのまま任せておけばうまく回るとは限りません。時間を区切って次の仕事へ移れる方もいれば、面白いことに延々とのめり込んでしまう方もいるからです。
絵を描くのが好きな方が、朝から晩まで描き続けるような感じですね。仕事そのものはしていても、予定していた別の仕事に手がつかない。そうなると、スケジュール全体が崩れてしまいます。
私も、のめり込むと気づいたら外が暗い、ということがあります。そこで、カレンダーと腕時計のアラームを使い、終わる五分前と終わる時間に知らせてもらっています。自分の気合いだけで何とかしようとせず、外の力を借りるわけです。
テレワークの時間管理では、予定どおりに切り上げて、次へ移れるかを見てください。苦手なら、時間を知らせる仕組みや、タイミングを確認してくれる人を用意する。一人で集中できるという長所を生かしながら、苦手な部分を補えばいいと思います。出社しただけで、仕事を切り上げられるようになるとも限りません。
チャットが相手にどう伝わるかを想像する
コミュニケーションはどの働き方でも大事ですが、離れて働くときに特に意識したいのは、自分の言動を相手がどう受け取るかです。
たとえば、ドアを強く閉めると、本人は何とも思っていなくても「怒っているのかな」と感じることがありますよね。言いたいことや自分の気持ちと、相手が受け取る印象は必ずしも一致しません。
チャットやビデオ会議では、その場の雰囲気をつかみにくくなります。「この人はいつも怒っているように見える」「ふざけているように感じる」と受け取られても、本人にはそのつもりがないことがあります。社内のやりとりでも、お客さんとオンラインでお話しするときでも、ここには気を配りたいですね。
伝えたつもりで終わらず、相手の立場からその言い方がどう見えるかを考えることです。ただし、相手の気持ちを勝手に悪いほうへ想像し続ける必要はありません。伝わり方にずれがあれば知らせ合う。言われて初めて気づき、直せることもあります。生まれつきの向き不向きだけで決めなくていい部分です。
仕組みで補えることまで、適性の問題にしない
テレワークにはITに詳しい人しか向かない、という考え方には、私はあまり賛成しません。使う仕組みやルールが整っていて、わからないことを聞けるなら、利用する人全員が技術的な問題を一人で解決する必要はないからです。
それよりも、新しいやり方に取り組もうとする姿勢があるか、会社が使いやすい仕組みを用意できるかを考えたいですね。最初から詳しくないという理由だけで、家で働く必要がある方の可能性を狭めてしまうのはもったいないと思います。
働く場所についても同じです。旅行が好きだからテレワーク向き、いつも違う場所で働けるから成果が出る、とは限りません。違う刺激から発想を得る仕事には意味があっても、場所に慣れる手間のほうが大きい仕事もあるでしょう。
本人に合う環境と、道具や周囲の支援で補える課題を分けて考えてください。育児などの生活上の事情、会社として可能な範囲も踏まえて、上司や人事の方と相談する。時間の区切り方と相手への伝わり方を確かめながら、力を発揮できる働き方を探していくのがいいと思います。
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