第321回:情報を集めすぎて選べない買い手と、判断の過程を整理する
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
Webで情報を集めてきたお客様に、私たちはどう接したらいいのでしょうか。情報が足りないというより、たくさんあるけれど、どうしたらいいか分からない。そういう状態で来ていることを、まず前提にした方がいいと思います。
今回は、コンテンツを見てもらった後のやり取りや商談も含めて、お客様が自分で判断するために、どう一緒に考えていくかという話です。私自身の経験からも、情報を次々と渡せば進む、というものではないと感じています。
すでにお腹いっぱいの方へ、情報を積み増していないか
「こういう情報もありますよ」「新しい資料ができました」「こんな事例もあります」。お客様が知らない情報を提供したり、求められた資料を作って渡したりすれば、自然と話が進むと思ってしまうことがあります。
でも、お客様は会いに来る前に、ネットでたくさんの情報を吸収しているかもしれません。もうお腹いっぱいなんですね。まだ整理できていないところへ、さらに情報を上積みしても、それで何かが解決するとは思いにくいでしょう。
情報を渡す量より、お客様が今、その情報を扱える状態にあるかを見たいところです。買う側になったときのことを考えても、次々に資料をぶつけられるだけでは、つらいですよね。
情報を増やし続けると、「もういいや、いつものところで」「安いから、近いから」と決めてしまうこともあります。あるいは、「今は何とか回っているから、また後で」と、考えること自体を先へ延ばしてしまうかもしれません。
本来考えるべき課題や条件が置き去りになれば、仮に自社を選んでいただいても、後で問題が起きる可能性があります。売る側にとっても、買う側にとっても、良いことではないんですね。
経験から答えを出す前に、お客様の状況を確かめる
もう一つは、「長年の経験から、あなたにはこれが合います」と教えていく接し方です。過去にこういうお客様がいた、自分はこう思う、といった話が多くなる形ですね。
売る側が情報を多く持っていて、お客様が教えてくださいと来ていた頃には、それでうまくいった経験もあると思います。ただ、今目の前にいる方の状況をあまり考慮せず、業種が同じだからこうですよ、と話してしまうと、押しつけがましく感じられることがあります。
自分たちの経験を話すことが、お客様の判断を助けているかどうかを確かめてください。良かれと思っていても、「結局、自分の商品を売りたいだけなのかな」と受け取られているかもしれません。
私も、お客様が大きな提案を受ける場に同席することがあります。過去の経験を基に、これがいいですよと次々に勧められても、お客様からは「結局、よく分からなかった」「何となく嫌な感じがした」という感想が出ることがあるんですね。
ちゃんとお客様を考えながらやっている、という方は、実際には一緒に判断する形になっているのかもしれません。ただ、自分だけで大丈夫と思わず、第三者からどう見えるかも入れてみるといいと思います。
問題、解決方法、要件、選択を一緒に考える
私が目指した方がいいと思うのは、お客様が自分で判断するために、隣で一緒に考える存在になることです。「自分で決めた気持ちにさせればいい」という意味ではありません。本当に、自分で考えて決める過程を進んでいただくということです。
実際の進め方としては、四つの段階がいいのではないかと考えています。最初は、問題を特定することです。こちらから「あなたの問題はこれです」と言い切るのではなく、お客様が「うちは、これが問題だったんだ」と気づけるように、一緒に考えます。
次に、その問題に沿って解決方法を探すことです。何となく同じカテゴリーの商品を見比べるのではなく、「この問題を解決するには、どういう方法があるだろう」と、行き先の定まった探し方をしていただくんですね。
問題に合う解決方法を探し、自社に必要な条件を決めた上で、選択へ進む流れを支えます。三つ目は、価格はこのくらい、利用者の追加や変更はこのくらい、といった要件を定めることです。システムでいう要件定義、お客様から見れば、押さえておきたいポイントですね。
その上で、最後に「自分たちには、これがいい」と決められる。横からいろいろ助けてもらったとしても、自分たちが考えて決めた結果だと納得できる。その流れを作ることが、私は大事だと思います。
合わない場合まで、売る方向へ曲げない
このやり方は、誰にでも買ってもらうためのものではありません。自社の商品がお役に立てそうなら、きちんと判断を助ける。そうでなければ、別のところを探した方がいいのではないか、とお伝えすることもあります。
合わないまま売上を作ってしまえば、後からクレームの多い案件になったり、対応する人に負担がかかったりします。私のところも人数が少ないので、一つトラブルを抱えると、ほかのお客様にまで迷惑がかかってしまいます。求められるスピードや柔軟性に、うちでは対応できないこともあります。
客観性を保ったまま話を進め、合うかどうかを一緒に確かめることが必要です。途中まで一緒に考えていたのに、売りたくなって強引に自社へ曲げてしまうと、お客様も気づくと思います。
Web上にたくさんコンテンツを出している会社ほど、自社のことは分かってもらえているはず、と思いがちです。でも、情報が多すぎて理解できていなかったり、むしろ誤解していたりすることもあるでしょう。サイトの中で、どう情報を見せるかも整理したいところです。
情報を渡した後に、さらに足し続けるのか。それとも、お客様が何を問題と捉え、何を条件に選ぶのかを一緒に考えるのか。コンテンツと、その後のやり取りをつなげて見直していただければと思います。
配信スタンド
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
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