第313回:ネットで売る新商品を開発するとき、価値の伝わりやすさをどう考える?
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
「新しい商品を開発して、ネットで売りたい」というご相談をいただくことがあります。非対面で売れるものを作りたい、すでに取り組んでいる商品をもっと売れるようにしたい。そうしたときに、共通してお伝えしていることがあります。
それは、商品を作り終えてから売り方を考えるのではなく、開発する段階で「Webで価値が伝わりやすいか」を頭の隅に置いていただきたい、ということです。そこを大前提にしすぎると発想が狭まってしまいますが、まったく考えずに進めると、後で売るための苦労が大きくなります。
商品が目の前になくても、魅力が伝わるかを考える
テレビやラジオのショッピング番組を思い出してみてください。商品の品質はもちろん大切ですが、それとともに、魅力を分かってもらうために大変な工夫をしていますよね。
ラジオなら、どんな言葉を使い、どういう言い方をするか。写真なら、どこからどう撮るか。動画なら、何をどの順番で見せ、どれくらいの長さにするか。購入前の不安を消すために、どんな情報を伝えるかも考えています。
みんなが頑張っているのは、商品が相手の目の前にない状態で、その価値をできるだけ伝えることなんです。非対面で売るときは、ここが難しいところです。
お店で実物を見たら買いたくなった、という経験はあると思います。目の前にあるからこそ伝わってくるものがある。その分をWebでは別の形で補わなければなりません。
伝えるためにかかる手間も、商品開発に織り込む
例えば、おいしさを売りにした商品でも、自分たちが「おいしい」と言うだけでは、「本当に?」と思われてしまいます。そこでレビューを載せたり、推薦する人を紹介したり、おいしそうに写真を撮ったりして、何とか伝えようとするわけです。
そういう工夫が必要な商品を作ってはいけない、という話ではありません。ただ、ネット上で販売を完結させたいのであれば、最初から伝わりやすいものにできないか、という視点は持っておいた方がいいと思います。
魅力を理解してもらうための手間が少なければ、その分の時間やお金をほかのことに使えます。立ち上げるときの負担も違ってきます。
作りたいものが決まっていて、そこを変えるのが難しい場合は、足りない部分を補う施策が必要になります。写真や説明を後から足せば何とかなる、と軽く考えるのではなく、それも含めて商品を売る仕事だと捉えていただきたいですね。
お客様が探す言葉に乗るかを確かめる
もう一つ考えていただきたいのは、その商品が言葉に乗りやすいかどうかです。誰も知らない製品名を付け、誰も知らない商品カテゴリーを作った場合、その名前で探してもらうのは難しいですよね。
検索するとき、人は自分の頭の中にある言葉を使います。商品自体は知らなくても、困っていることや欲しいものを言葉にできれば、そこから探せます。ところが、そのどちらにもつながらない見せ方をすると、見つけてもらう入口がありません。
新しい名前だけで伝えようとせず、お客様がすでに持っている悩みや商品カテゴリーとの接点を考えてください。その中で「こういう優れたところがある」と示す方が、理解してもらいやすくなります。
探す言葉がまだない商品なら、探してもらう以外の形で知ってもらう努力が必要です。見てもらう機会を作り、少しずつ印象をためていく。そうした手間まで考えておかないと、商品はできたけれど、どうやって届けようかという話になってしまいます。
新しすぎる商品には、理解できる入口を用意する
「分かってもらえれば絶対に売れる」と思うような、新しいものができることもあるでしょう。その場合は、少し不本意でも、まずお客様が持っている概念の中に当てはめてみる必要があります。
何だかよく分からない機械を置き、ボタンを押すと周りがきれいになる。そんな説明だけでは、「それは何に使うの?」「逆に怪しくない?」と思われてしまいますよね。すごさを説明する前に、自分の生活や仕事で何が助かるのかが分からないんです。
相手が分かるメリットから入り、その後で「実はこういうこともできる」と広げていくような伝え方が必要だと思います。根本の仕組みや新しい概念を、最初から丸ごと理解してもらおうとしないことです。
それでも難しい場合は、その一つ手前に、考え方を分かってもらうための入門商品を置く方法もあります。いきなり本命の商品を売るのではなく、手に取りやすい商品を通じて、その先の価値が分かるようにする。商品一つの説明だけで解決しようとせず、順番を作る考え方ですね。
営業の「売りづらい」を、開発側でも受け止める
商品開発と営業がぶつかる場面でも、似たことが起こります。「これをどうやって売るの?」「この資料では納得してもらえない」「もっといい切り口がないと売りづらい」といったやり取りです。
売る側は、自分たちが説明しづらいものを扱うことになります。そこで出てくる「売りづらい」という声は、お客様にとっても受け入れづらいところがある、という手がかりなんです。
新商品を作るときは、品質や新しさに加えて、お客様が「こういうもので、ここが優れているなら買ってもいいかな」と理解できるかも考えてみてください。できるだけそこに近づけておくと、販売を始めてから補わなければならないことを減らせると思います。
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