第283回:動画活用の最初の一歩は、社内向けの一本から
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
「動画を自分たちで撮影して、編集して、使ってもいいのでしょうか」。こういうご質問をいただくことがあります。ちゃんとしたもの、きれいなものを作らなければいけないのでは、と心配されるんですね。
今回は、中小企業が自分たちで動画を作れるようになるには、どこから始めたらいいかという話です。いきなり外へ出す動画を作ろうとすると、二の足を踏んでしまいます。まずは、内向きの動画を作ってみていただきたいと思います。
すべてをテレビのように作る必要はない
もちろん、きちんと撮影した方がいいものはあります。例えば、高額な宝石や装飾品、住宅や設備などですね。照明をきちんと当てることで、商品の良さや正しい価値が伝わるものもあります。そうしたものは、ちゃんと撮った動画が一つあり、その周りに、もう少し生っぽい動画があるという形でもいいでしょう。
商品やサービスによって考える必要はありますが、動画の専門会社が作ったものと比べて、素人っぽいから出してはいけないということではありません。
きれいに作り込むこと以上に、嘘のない情報を見たいというお客様の声もあります。私がお客様のお客様に、どういう動画を求めているか聞いてみると、そういう声が大きいんですね。
多少揺れたり、もう少し良い画角がありそうだったりすることまで、怖がりすぎなくてもいいと思います。ただ、話し方が雑すぎる、不快な音が入っている、だらだら長いものを見せる、といったことは避けたいところです。
ちゃんと聞き取れて、何を言っているか分かり、伝わる方がいい。そのための撮り方や話し方を、どう身につけていくかです。全部をプロの演者さんにお願いしなければいけない、という話ではないんですね。
最初の一本を、社内向けの仕事として作る
動画を活用しようとすると、無意識に外へ出すことを考えていないでしょうか。YouTubeで発見してもらう、ホームページで見てもらう、見込みのお客様の関心を高める。そういう外向きのものを、最初から作らなければいけないと思う方が多いんです。
外へ出すなら、ある程度の質は必要です。自分たちもちゃんとしたものを出したい。だから、なかなか手をつけられなくなるんですね。そこを、一度切り替えてみてほしいと思います。
まずは、マニュアルや内部研修など、社内で使う動画を作ってみてください。会議の重要な部分を抜き出した動画でも、自分が持っている知識を社内へ伝える動画でもいいんです。
「ここが分からなかったので、もう一回教えてもらえますか」「ここは、こうした方がいいと思いました」と、社内なら反応を返してもらいやすいですよね。意見をくださいとお願いした上で、見てもらって、直していくことができます。
多少分かりづらければ、社内で文句は言われるかもしれません。でも、最初から広く見てもらうものより、試しやすいはずです。どういうものなら見てもらえるかも含めて、試行錯誤を繰り返せます。ただ一人で練習しようと思っても、なかなか続かないので、社内向けのタスクにしてしまうんです。
自分の声への違和感も、作りながら慣れていく
撮影を始めると、たぶん一番嫌なのは、自分の声を聞くことだと思います。私も、最初はすごく嫌でした。自分はこんな声だったのか、こんなイントネーションだったのかと、いろいろ気になりますよね。
私は高校生のときに演劇をやっていて、自分たちの演技を8ミリビデオで撮り、見直して、ダメ出しをすることを何度もやっていました。そのときに二年、三年と自分の声を聞いていたので、今はあまり気にならなくなっています。その当時は、かなり気になりましたよ。
自分で撮って編集し、何度も声を聞いていると、だんだん慣れてきます。どこを切ろうかと何度も聞いていたら、声のことだけ気にしていても終わらないんですね。
作り続ける中で、話す順番、内容、自分の癖も分かってきます。どのタイミングで資料を出すか、テロップを出すか。照明はどこから当てるか、どこを見て話すか。そういうことは、やはり数稽古だと思います。
社内で必要なものを作るという仕事になっていれば、撮り方や照明を考える理由も生まれます。その中で直していくことで、ある程度のところまで進んでいけるんですね。
期間を決めて練習し、少しずつ外向きへ進める
社内向けのものから、少しずつ外側へずらしていってもいいと思います。例えば三か月、半年と決めて、その後に外向きのものを作れるようになろうと考える。いきなり公開するものを作るより、プレッシャーも少ないですよね。
外の方に見てもらったとき、「普通に見られるね」「結構うまいね」と言われれば、質の面では自信になるでしょう。ただ、そのときは機密情報など、外へ出す内容について気にしなければいけないことも出てきます。
内向きの動画で経験を積んでから、外へ出せる内容と質を確かめていけばいいんです。私のお客様でも、自分たちで普通に作れるようになっている会社はあります。
そして、できればカメラの前で話すことに、皆さんも慣れておくといいと思います。普段話すのが上手な方でも、録画を見ると、「ここは、こうした方がいいな」と気づくことがあるんですね。話し慣れていない方には、そのまま練習になります。
相手の反応を見ながら話すことと、画面の向こうへメッセージを届けることは、必要なスキルが違います。動画を見返すことは、自分の話し方を見直すきっかけにもなります。私も、自分が話したものを後で車の中で聞いて、「ありゃあ」と思うことは毎回あります。
撮影や編集に慣れるだけでなく、目の前に相手がいない状態で、どう話を組み立てるかも練習できる。社内向けの動画作りを、外向きの情報発信やWebセミナーへ進むきっかけにしていただければと思います。
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