メールマーケティングは「取れ高」だけ見ていると、未来のお客様を失なう
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。メールマーケティングは「取れ高」が見えやすい分だけ、足元を見落としやすい媒体でもあります。
開封率やクリック率を追う前に、まず「受信箱に入っているか」を確かめてください。迷惑メールに振り分けられていたら、数字がどう見えていても、相手の目に触れません。
SPF(送信元の正当性を示す設定)とDKIM(改ざんされていないことを示す署名)を整えたうえで、反応がない相手には送り続けない。これだけで、メールはちゃんと働いてくれるんです。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- 「届いた」と「受信箱に入った」を分けて見る視点
- 迷惑メール判定の変化に早めに気づく簡単な運用
- 取れ高の陰で失っている“未来のお客様”を減らすリストの扱い方
B2Bでは、メールがちょうどいい距離感になります
B2Cでは、メールを受け取る機会そのものが減ってきました。SNSやSMSのほうが反応につながる場面もありますし、特にSMSは届けば動きやすいところがあります。
ただB2Bは、受け取るのは個人でも、その人は会社の中の一人です。外部の相手に踏み込みすぎない距離感で、必要な情報を淡々と届けられる。私はこの点で、メールはまだまだ使われ続けると見ています。「メールはもう終わり」という話を耳にしても、B2Bなら一度立ち止まって考え直していいと思います。
開封率・クリック率の前に、「受信箱に入っているか」を見ます
メールを出しているのに、「ちゃんと届いているか」をどれくらい確認しているでしょうか。1to1のやり取りなら、届かないことはそう多くありません。けれど一斉配信になると、状況は一気に変わります。
特に怖いのは、メールサーバーには到達しているのに、受信箱ではなく迷惑メールに入ってしまうケースです。送れたつもりでも、読まれる場所に出てこない。これが続くと、配信の努力が空回りします。
大量配信ほど「到達」をモニタリングしないと崩れます
配信ツールで100人、1000人、さらにその先へ、と送るほど、到達状況を把握していないのは危険です。開封率やクリック率は見ていても、そこに至る前段の「受信箱に入っているか」を見落とす方がいます。
また、個人のメールソフトからBCCで送る運用も見かけますが、宛先の扱いを間違えると漏洩につながります。運用の安全性という意味でも、メールマーケティングは専用の仕組みで行う前提にしておくのが無難です。
迷惑メール判定は、気づかないうちに進みます
フィッシングをはじめ迷惑メールが増えている以上、受信側が厳しくなるのは自然な流れです。ある日ふと、今まで受信箱に入っていたものが迷惑メールに回る。こういう変化が起きても、こちらが見ていなければ気づけません。
私が見かけた「Spamresource」というスパム関連のブログでも、Gmailの判定が厳しくなっている趣旨の記事が出ていました。一次情報をすべて追えているわけではありませんが、少なくとも「認証が整っていないと不利になる」という方向性は、以前から一貫しています。
確認用のフリーメールを用意して、淡々と眺めます
判定は受信してみないと分かりません。確認用として、無料のGmailアカウントをいくつか用意し、配信先に混ぜておくと変化に気づきやすくなります。
Google Workspaceを使っている場合でも、確認先は自社ドメインではなく、まったく別の無料Gmailにしてください。自社ドメイン同士だと受け取りやすくなり、チェックとして鈍ります。
- 確認用の無料Gmailを配信リストに追加する
- Outlook.comやYahoo!など、主要なフリーメールでも同じように確認先を持つ
- 確認用アカウントでは開封・返信をせず、受信箱/迷惑メールの振り分けだけを見る
SPFとDKIMは、いまのメール配信の最低条件です
迷惑メール判定の要因は複雑ですが、まず押さえるべきはSPFとDKIMです。SPFは「このドメインから送ってよい送信元はどこか」を示す設定で、DNSにレコードを書きます。DKIMは、メールに署名を付けて「内容が改ざんされていない」ことを示す仕組みで、こちらもDNSに情報を載せます。
たとえばSendGridのような配信サービスを使うと、差出人は自社ドメインでも、実際の送信経路は外部サービスになります。そのままだと受信側から見て「なりすまし」に見えやすい。だからSPFとDKIMで、送信の正当性を揃えておく必要があります。
設定はシステム担当の方に確認するのが早いです。真っ当なメール配信ツールなら、DNSに何を書けばいいかを案内していますし、SPFレコードのチェックサイトもあります。まずは「今、設定できているか」を確かめてください。
「取れ高」だけ見ていると、未来のお客様が減っていきます
ハウスリスト、つまり納得感のある形で集めたアドレスに送るのが前提です。名刺交換しただけで一方的に送られるのは嫌だ、という気持ちがあるのも分かります。最低限、そこへの配慮は必要です。
一方で、名簿を買ったり、他社のリストを使ったり、社内で膨れ上がった何万・何十万のリストに配信しているケースがあります。そこで「半分は届かなかったけれど、残りに届けばいい」「1割に届けば、その中から取れ高が出る」と考えてしまう。ここが落とし穴です。
反応がない相手は、ただのゼロではありません。迷惑メールボタンが押されれば判定が不利になり、別の相手にも届きにくくなります。さらに、突然届いたメールは悪い印象として残りやすい。後から必要になったタイミングで「あそこ、前に迷惑なメールを送ってきたところだ」と思い出されると、その瞬間に候補から外れます。
DMの世界で「千三つ(1000通送って3件反応)」という言い方があります。毎月その3件の取れ高を刈り取るために、残りの相手に嫌われ続ける運用は、積み上がる負債が大きすぎます。
反応がない人には、送り続けない運用に切り替えます
見たくないと思われたら、SNSはミュートや解除が起きます。メールでも同じで、嫌われる形が続けば、配信全体が苦しくなります。
そこで、送るべきではない人には届かないようにする発想に切り替えます。たとえば5回送って5回開封されないなら、6通目は「今後も送ってよいか」を確認するメールにする。反応があれば再開し、なければ止める。リストを小さくしてでも、きれいに保つほうが、後で効いてきます。
ツールは「メールマーケティングのための道具」を使います
昔から同じ配信ツールを使い続けている企業さんもいますが、開封率とクリック率くらいしか分からない、ということがあります。そうなると、到達や判定の変化に気づきにくく、手当てが遅れます。
私が紹介するなら、MailchimpやZoho Campaignのように、配信の前提をきちんと押さえたツールです。到達や認証の考え方を運用に落とし込みやすいものを選ぶと、リストの状態も保ちやすくなります。
メールは、外部との関係を整えるために残り続けます
身内のコミュニケーションはチャットに置き換わっていくでしょう。それでも、外部の人に向けて、ほどよい距離感で情報を届ける媒体として、メールは使われ続けます。
だからこそ、リストは「数」より「状態」です。SPFとDKIMをスムーズにし、確認用アカウントで判定を眺め、反応がない相手には送り続けない。これを徹底するだけで、メールはきちんと成果に結びつく形に戻ってきます。
関連リンク
- New Gmail protections for a safer, less spammy inbox
- Set up SPF – Google Workspace Admin Help
- Set up DKIM – Google Workspace Admin Help
- How to setup SPF and DKIM TXT records for your domain
- Set Up Email Domain Authentication | Mailchimp
FAQ
B2Bでメールがまだ有効だと考える理由は何ですか?受け取るのは個人でも、その人は会社の一員として検討や判断に関わります。外部の相手に踏み込みすぎない距離感で情報を届けられるので、B2Bではメールが強いまま残りやすいと見ています。
開封率やクリック率だけ見ていると、どこで失敗しますか?そもそも受信箱に入っていない可能性に気づけません。迷惑メールに入っていれば、取れ高を作る以前に、相手の目に触れない状態が続きます。
迷惑メール判定を早めに知るには、何をすればいいですか?確認用の無料Gmailなどを用意し、配信先に混ぜておきます。確認用アカウントでは開封や返信をせず、受信箱に入るか迷惑メールに入るかを定期的に眺めます。
SPFとDKIMは、なぜ優先して整えるべきですか?受信側から見て「そのドメインから送ってよい送信元か」「内容が改ざんされていないか」が揃っていないと、なりすましに見えやすくなります。まずはこの2つを整えて、配信の前提を崩さないことが大切です。
反応がない相手には、どう対応するのがよいですか?送り続けるほど印象が悪くなり、迷惑メール判定にもつながります。たとえば5回送って開封がないなら、6通目は「今後も送ってよいか」を確認し、反応がなければ止める。リストをきれいに保つ運用に切り替えるのがおすすめです。
配信スタンド
- Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ)
https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892 - GooglePodcast
https://www.youtube.com/user/WebMarketingJAPAN - Spotify
https://open.spotify.com/show/0K4rlDgsDCWM6lV2CJj4Mj - Amazon Music
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