第488回:ニュースは発表後まで追う、取り組みの結果で自分の仮説を確かめる
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
新しいサービスが始まった、こんな取り組みが話題になっている。そういうニュースは目につきますし、社内でも共有しやすいですよね。ただ、Webマーケティングの参考にするなら、その後どうなったかまで追いかけていただきたいと思います。
話題になった段階と、実際に事業として続いていく段階は違います。今回は、私が当時、書店のアバター接客のニュースを読んだときに考えたことを例に、取り組みの結果をどう待ち、何を確かめるかという話をします。
始まったニュースを、成功した事例として受け取らない
「こういうニュースが出たから、この方向が受けるんだな」と考えてしまうことがあります。でも、発表されたばかりの段階は、まだ仕掛けが始まったところです。そこで話題が広がること自体も、プロモーションの一部かもしれません。
大事なのは、半年後や一年後に、本当に事業になっているかです。その会社だけで終わったのか、ほかの会社にも広がったのか。一つの流れとして定着しているかを見る必要があります。
新しい取り組みを知ることと、それが商売として成り立つと判断することは、分けて考えてください。自分たちが何かを始める場合も、最初に注目されたかだけでなく、収益につながり、事業の一つになるかが気になるはずですよね。他社の取り組みを見るときも同じです。
私は、飲食店で配膳ロボットを見かけたときにも、ニュースで見たものが実際に広がっているかという観点で見ていました。話題になったロボットでも、その後の姿は同じではありません。もちろん、技術が違う時代のものを、そのまま比較できないという点はあります。
新しい情報を毎日追うだけだと、始まった話ばかりが増えていきます。後になってどうなったかは目立ちにくいですが、そこまで見ることで、情報収集の質が変わると思います。
書店のアバター接客から、何を確かめたかったのか
私が気になったニュースの一つは、有隣堂とKADOKAWAによる、アバターを使った書店での接客でした。書店員の方がアバターを通じて本を薦めたり、相談に乗ったりする取り組みです。当時の記事では、AIが答えるのではなく、後ろに実際の店員さんがいる仕組みとして紹介されていました。
これを見たとき、私はその場で成功か失敗かを決められないと思いました。始まったばかりですからね。気になったのは、売上や得られる情報などを踏まえて、ほかの店舗へも広がっていくのか、それとも、その場限りで終わるのかでした。
ここで私が考えていたのは、単にアバターが珍しいかどうかではありません。お客さんが、誰からの推薦なら自分の選択のよりどころにするのか、という問いです。
有名な人の薦めるものを選ぶことはありますよね。でも、書店員のアバターは、その人の顔や経歴まで分かっている相手とは限りません。「書店の店員さんだから、本に詳しいだろう」という、身近な専門家としての信頼が、どこまで購入につながるのか。そこが興味深かったんです。
もし、そうした相手からの推薦でも受け入れられるなら、必ずしも有名ではない専門家が、商品を説明する見せ方にも可能性があるかもしれない。これは、当時の私の仮説です。
同じ本を薦めても、選ばれる理由は違うかもしれない
もう一つ考えたのは、そもそも一対一で好みを聞かれ、推薦してもらうという行動自体が、どのくらい求められているのかということです。
書店には、「今売れている本」や「この人がお勧めする本」という企画があります。そこで本を買う人は、紹介文や推薦者を信頼しているのかもしれません。一方、大きな書店で目立つ場所に並んでいることそのものが、安心につながっている可能性もあります。
仮に、店頭の企画とアバターの接客で、まったく同じ本と情報を紹介したとします。それでも選ばれ方が違うなら、情報の内容以外にも、判断に影響するものがあるのではないかと考えられます。
外から見える「買った」という行動だけでは、その人が何を信じて選んだのかは分かりません。推薦した人なのか、売れているという情報なのか、それとも、多くの人に見える場所へ置かれていることなのか。ここを同じものとして扱わない方がいいと思います。
たとえば、一対一で「売れ筋です」と薦めても購入につながるなら、その情報自体が判断材料になっている可能性があります。「私がお勧めします」という説明で選ばれるなら、身近な専門家の推薦が届いているのかもしれません。どれも、結果を見る前に確定できる話ではありません。
当時、私自身は、この取り組みが広く続くかには慎重な見方をしていました。ただ、その見立てを持ったまま終わるのではなく、実際の動きによって補正しなければいけないと思っていたんですね。
半年後に確かめる予定まで、情報収集に入れる
このように、ニュースを読んだ時点で「何が分かれば、自分の見立てを確かめられるか」を考えておくと、その後を見る意味がはっきりします。
取り組みが続いているのか、別の店舗や会社へ広がっているのか。最初の話題性だけでなく、実際の商売としてどうなっているのか。そういう点を追いかける癖をつけてほしいと思います。
気になったニュースは、半年後に結果を確認する予定をカレンダーへ入れてしまうのも一つの方法です。次々に新しいものが出てくるので、覚えておこうと思うだけでは、そのまま忘れてしまいやすいんですね。
自分の予想が当たったことを喜ぶためではなく、違っていたら考えを直すために追います。話題になった瞬間だけを見るのではなく、あの取り組みは今どうなっているのかまでを、情報収集に含めていただければと思います。
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