第602回:Search Consoleの数字をどう見るか。前年比を鵜呑みにせず、今の状況を確かめる
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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Google Search Console(サーチコンソール)とどう向き合うかという話です。Google アナリティクスと並んで、Webサイトを運用している方なら使うことが多いツールですよね。ただ、サーチコンソールを、長い期間の成長を正確に比べられるデータ分析の基盤だと思わない方がいいと、私は考えています。
GA4(Google Analytics 4)のようにデータがたまり、昨年や一昨年と比べられる。しかも、どんな検索語句で表示され、何回クリックされたかという、Googleが持っているデータを見られる。だから、表示回数やクリック数をKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)にしている方も多いと思います。問題は、その数字が増えたことを、そのままサイトの成長と受け取ってよいのかです。
長期の成績表として見る前に、数字の限界を知っておく
別に、Googleを悪く言いたいわけでも、サーチコンソールが壊れたと言いたいわけでもありません。以前はウェブマスターツールと呼ばれていたツールです。そこへAI(Artificial Intelligence、人工知能)を含むさまざまな検索結果の見せ方が加わり、今の画面や指標では捉えきれなくなっているのではないか、という話です。
私なら、30日や3か月くらいで「今はどんな感じかな」「どこから、どんな検索語句で来ているかな」と確認するために使います。長くても昨年との比較くらいでしょうか。もっとも、1年前との比較でも、そのまま信じるのは危ないかもしれません。昔の数字と並べれば、時系列の変化をきちんと把握できると思っていると、落とし穴にはまります。
むしろ、検索に関する機能を管理したり、インデックスの状況を確認したりする、Googleとの間接的な対話の場としての役割が8割くらいだと私は捉えています。検索パフォーマンスはおまけとまでは言いませんが、「自分が出した記事は、今こういう感じなんだな」と、その時々の状況を見るくらいの距離感がよいのではないでしょうか。
集計の変更と、自分たちの施策の成果を混ぜない
検索結果の形が変われば、表示回数や掲載順位の測り方も変わっていくでしょう。それ自体は当然です。ただ、過去と今を比べている側からすると、測り方が変わった後に、以前の数字をどう読めばよいのかが分からない。ここが困るところです。
サーチコンソールでは、Google側の集計方法の変更やロギングエラーによって、グラフが急に増減することがあります。およそ1年にわたる数字の問題が、後から分かることもあるわけです。
編集注:Googleの公表で確認できる対象期間は、2025年5月13日から2026年4月27日です。表示回数と関連指標が影響を受け、クリック数は対象外でした。原文の「2025年にあったような気がする」「過去1年、全部おかしかった」という説明は、この期間・範囲に訂正しています。
参照:Google Search Console ヘルプ:データの異常
画像や商品、求人などの集計基準が変わったという案内を見たり、画面に黄色い線が入り、「ここから変わっています」と示されたりすることもあります。でも、どのくらい変わったのか、過去の数字をどう補正すればよいのかまで分かる情報は、私が把握している限り、ほぼ見たことがありません。
プライバシーのために検索語句が隠され、検索語句のフィルタをかけると見える数字が減ることもあります。画面で見られる検索パフォーマンスのデータは16か月分です。それより長く残したいなら、BigQueryや手元へのエクスポートで確保しておく必要もあります。画面に出ている数字だけで、すべてが分かるわけではないんですね。
参照:Google Search Console ヘルプ:検索パフォーマンスの確認、Google検索セントラル:検索トラフィックの減少をデバッグする
それから、順位測定のボットや、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)関連のツールが検索結果へアクセスすることも、気になります。AI関連の仕組みが加わり、外部からのアクセスも変わっていく。私は、そこに人間の検索行動がどのくらいの精度で表れているのか、疑問を持っています。Googleが対策をしても、いたちごっこになる部分はあるでしょうし、技術的にも難しいのだろうと思います。
無料だからといって、データの品質への不満がなくなるわけではない
「無料版なのだから、仕方がない」と思うかもしれません。では、仮にプロ版があり、年間100万円や200万円を払って使う分析基盤だったらどうでしょうか。Google アナリティクスにも有料版はありますから、まったく考えられない話ではないですよね。それなのに、提供されたデータをそのまま分析に使えないとなれば、大きな問題です。
Googleも一つの企業です。ほかの会社が継続してデータを提供していて、「実は品質が悪かった」となったら、問題になりますよね。Googleは扱う範囲が広く、ネット上のインフラのようになっているので、「Googleだから仕方がない」と思いがちです。でも、提供元という観点で見ると、言い方は悪いですが、「データの品質を保つやる気はあるのか」と思ってしまう状況です。
集計基準を変えたなら、例えば「この種類の検索語句では、数字が10%くらい変わります」といった補正の目安が欲しい。大変なのは分かりますが、数字を使って判断する側が困ることまで、無料だからで片付けたくはありません。それでも、今後もこうした曖昧さを含む数字として付き合っていくしかないのでは、と私は思っています。
表示回数が増え、クリック率が下がったときに慌てない
実務でも、「表示回数がものすごく増えている」と感じる場面がありました。AI関連の検索結果が広がった時期は、本当に荒れていたんです。表示回数が急に増えたり、急に減ったり、いろいろなパターンがありました。
クリック数が変わらないまま表示回数だけ増えれば、CTR(Click Through Rate、クリック率)は下がります。すると、「タイトルやディスクリプションを大きく変えた方がいいのか」「競合が入ってきたのか」と、いろいろな仮説を立てたくなります。でも、検索結果の見せ方や数え方が変わった影響まで、施策の問題として追いかけてしまうことがあるんですね。
編集注:原文では、AI概要の掲載順位と表示回数の説明が混在していたため、次のように訂正します。Googleの説明では、AI概要は検索結果の中で一つの掲載順位を持ち、その中のリンクには同じ順位が割り当てられます。表示回数は通常のルールに従って数えます。「AI概要全体が、丸ごと1インプレッション」という意味ではありません。
参照:Google Search Console ヘルプ:表示回数、掲載順位、クリック数とは
クリックされにくい場所に出た場合でも、表示回数として数えられれば、数字の読み方は変わります。分析している側からすれば、「先に言ってくれよ」という気持ちになります。まして、1年前の数字と比較していたところへ、長い期間に問題があったと分かったら、「もう、どうしてくれるんだ」と思います。同じように感じた方は、口には出さなくても多いのではないでしょうか。
改良を待つより、今の使い方を決めておく
これからサーチコンソールが、もっと細かなことまで分かる分析基盤になるか。収録時点では、私はおそらくそうはならないと思っています。プライバシーへの配慮もありますし、AI検索の見せ方も変わります。私が見聞きした範囲では、測り方が変わるという話はあっても、使う側がもっと詳しく理解できるように、具体的にどう改良するのかという話は聞いていません。
だから、何年分もの表示回数やクリック数を、そのまま同じ物差しで比べるのは気をつけてください。GA4なら、こちらでフィルタを設定するなど、データを扱うときに調整できる部分があります。サーチコンソールでは、Google側の計測をこちらで変えられません。渡された数字を、こちらでコントロールできるデータと同じように鵜呑みにしないことです。
私は、パフォーマンスの数字以上に、インデックスの状況などを見ることが多いです。「なぜこのページはインデックスされていないのか」と確認する。ただ、それも毎日しょっちゅう見るわけではありません。Googleの案内にも、毎日のログインは必要なく、月1回程度確認する、という説明があります。そのくらいのモニタリングに使うものだと、私は捉えています。
編集注:この案内には、月1回程度に加えて、サイトのコンテンツを変更したときにも確認すると記載されています。
参照:Google検索セントラル:Search Consoleの使い方
うちでは、ページとGA4のデータを突き合わせています
もちろん、うちでもお客様の表示回数はKPIに入れています。ただ、一気に増えたからといって、「万々歳だ、SEOがうまくいった」とは捉えません。なぜ増えたのか、どのページが出ているのかを、GA4のランディングページのデータなどと突き合わせて確認します。
表示回数が多いのにクリック率が低いページがあれば、コンテンツを見直す優先順位を考える。そのように、全体の様子をつかみ、どこを改善するか見つけるためには使います。反対に、「今週はこんなに下がった。なぜだろう」と、毎回細かく追いかけることはしません。それ以上追っても、あまり有益なことが得られないと感じるからです。
Googleとしても悩ましいところはあるのだろうと思います。パフォーマンスレポートをなくすわけにもいかないでしょうし、業界からは「もっと強化してくれ」という声がある。何のためのツールなのかが、改めて問われているように感じます。
数字で見えないところも含めて、お客様を理解する
AIモードやAI概要、対話型AIが広がれば、お客様が何を検索し、どんな質問をして問題を解決したのかは、ますます見えにくくなります。Googleからの流入はまだ多くても、ビジネス上の問題解決に絞れば、こちらから見えないところで、対話型AIが解決していることも、思っている以上にあるのではないでしょうか。
20年、25年くらい前は、「インターネットなら、リアルの世界よりいろいろなことが数字で分かる」というのが強みでした。今は一巡して、オンラインでもオフラインでも、お客様をきちんと理解する。必要な相手へうまく届け、それ以外の人を不快にさせない。そうした商売の基本へ立ち返ってきているなと感じます。
もちろん、「こういうふうに使えば、もっと分析できる」という話はあるでしょう。データを丁寧にまとめ、ほかのツールと組み合わせれば、精度を上げる余地はあります。ただ、ここで主に考えているのは、中小企業でWebを兼務している担当者の方が、日常の仕事でどう向き合えばよいかです。分析の流派や流儀を突き詰めればきりがありませんから、今回はこのくらいの距離感をお伝えしたいと思います。
まとめ:数字を鵜呑みにせず、現状と改善する場所をつかむ
- サーチコンソールの表示回数やクリック数を、長い期間の成長を正確に比べられる数字だと、私は考えていません。集計の変更やデータの問題も含めて見る必要があります。
- 表示回数が急に増えても、すぐに成功とせず、ページごとの状況やGA4のデータを突き合わせる。クリック率が動いた理由も、施策だけで決めつけないことです。
- インデックスの確認や、Googleとの間接的な対話、緩やかなモニタリングに使う。兼務担当者が毎週の細かな増減を追い続ける必要はないと思います。
- ツールを組み合わせて分析する余地はあります。そのうえで、数字では捉えにくくなった、お客様の調べ方や問題の解決の仕方にも目を向けたいですね。
引用元・参考情報
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