第596回:画像生成AI活用はもうマスト、注意すべきは制作過程・トレーサビリティ
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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- 画像生成AIで作った広告クリエイティブ、それにともなうコンテンツを、いまどう捉えるべきか
- SNS上の反発だけで利用可否を決める危うさ
- AI活用で管理すべきなのは、制作過程とトレーサビリティ
- 「AIかどうか」の上位概念としての、買い手からの信頼設計
今回は、画像生成AIなどを使って広告やWebサイトのコンテンツを作ってよいのか、という話です。
このテーマは、まだ扱いづらいと感じる方が多いと思います。SNSではAIを忌避する声が目立ちますし、著作権への不安もあります。社外的には使えそうでも、社内に懸念を示す人がいて動かしづらい、という話も実際によく聞きます。
先に結論をお伝えすると、一般的な領域では、広告やコンテンツ制作への生成AI活用を検討できる段階に入ったと私は考えています。
ただし、「活用できる」という結論だけを受け取ると、間違った判断をする可能性があります。
著作権などの基本的なルールを守ることは当然です。加えて、AIを使った事実や制作過程を説明できる状態にしておかなければなりません。
つまり、いま問われているのはAIを使うか使わないかではありません。
透明性を確保し、受け手からの信頼を守りながら使えるかどうかです。
SNS上の反応と実際の顧客を分けて考える
AIに関するネガティブな意見は、SNS上で目立ちやすいものです。ただし、SNSが世の中全体をそのまま反映しているとは限りません。SNSで目にした意見だけを基準に、広告やコンテンツへのAI利用を止めてしまうのは避けた方がよいと考えています。
生成AIを使った広告は、看板、駅、電車内など、さまざまな場所ですでに見かけるようになりました。私自身もAIを使った広告を出稿していますが、少なくとも私が把握している範囲では、AIを使ったことによって問題が起きた経験はありません。
もちろん、AIに対して特にセンシティブな反応が起きやすい業界では、個別に考える必要があります。
しかし、一般的な商材やサービスまで、SNS上の一部の声だけで一律に判断する必要はありません。実際の顧客や対象市場がどう受け止めるのかを見て、判断することが重要です。
大手企業の姿勢を判断材料にする
私が新しい手法を「使うべきか、まだ待つべきか」と判断するときは、大手企業がどのような姿勢を取っているかを一つの基準にしています。
単に様子を見ているのか。それとも、利用ガイドラインや具体的な機能を用意しているのか。この違いは大きいものです。
しかし、実際大手企業がAIを使うための仕組みを実際に提供しているなら、少なくとも市場は「AIの利用そのものを避ける段階」から先へ進んでいると捉えてよいでしょう。
今回のPodcastで取り上げたGoogleの動きも、その一例です。
Googleは、広告が生成AIで作成・編集されたかを確認できる「How this ad was made」という仕組みを発表しました。Google自身の生成AI機能だけでなく、外部のツールで作った広告についても、広告主がAI利用の有無を示せる方向へ進んでいます。
これは、AI広告を排除するためだけの仕組みというより、開示したうえで使える状態を整える動きだと私は見ています。
AI活用の前提となる制作過程の透明性
その上で、注意すべきは「使っているか使っていないか」の管理が大事だということ。トレーサビリティと呼んでも良いでしょう。
AI広告で起こり得る事故の中で、特に注意が必要なのは、「外部へ依頼した制作物が、実はAIを使って作られていた」というケース。
問題は、生成AIを使ったこと自体ではありません。
使っているのに使っていないことになっている、あるいは、誰も制作過程を説明できない状態になっていること。
そのため、これからは完成したクリエイティブを見るだけでは足りません。次のような制作プロセスも管理する必要があります。
- 使用したツール
- AIを使った工程
- 担当者が確認・修正した内容
外部パートナーを含めたトレーサビリティ
自社内で制作している場合でも、担当者ごとにAIの使い方が異なる可能性があります。制作会社や広告代理店など、外部パートナーへ依頼している場合は、さらに見えにくくなります。
そのため、AI利用の有無と制作過程を説明できるようにしておくことが欠かせません。発注側は、外部パートナーがAIをどう捉え、今後どのように生産性や改善速度を上げようとしているのかを確認する必要があります。
反対に、制作会社側から見ると、早い段階でこの管理体制を整えることは強みにもなります。AI利用を気にする企業に対して、制作工程をきちんと説明できれば、安心して選んでもらいやすくなるからです。
AIか非AIかではなく信頼設計
AIを一度使えば、それだけでよい広告になるわけではありません。AIで生成したものを人間が確認し、目的や顧客に合わせて最適化する共同作業が前提です。
一方で、AIを適切に使えば、制作や改善の速度を上げられます。私としては、特に多くの人を対象にマーケティングを行う場合、この流れに乗らないことが次第にリスクになると考えています。
ただし、ここでも本質は「AIだからよい」「AIだから悪い」という話ではありません。AIが登場する以前から、画像の意図的な加工や、受け手を誤解させる表現は嫌われてきました。ツールが変わっても、問われているものは同じです。
自分たちがマーケティングやセールスで伝えている内容を、買い手が信頼できるか。AIの使い方にも、その企業の信頼設計が表れます。
自社なりの使い方を改善し続ける
社内に懸念があるなら、いきなり大きく展開する必要はありません。「この形なら使えるのではないか」と仮説を立て、実際に顧客へ見せて反応を確認します。顧客に受け入れられた表現と、受け入れられなかった表現を記録し、自社のノウハウとして蓄積していけばよいのです。
AIの使い方に、最初から完成された正解があるわけではありません。正しく、前向きに使うための方法を考え続け、改善し続ける。その積み重ねによって、自社なりの使い方を見つけることが重要です。
まとめ:AI広告で問われる透明性と信頼
広告やコンテンツ制作にAIを使うことは、すでに標準的な選択肢になりつつあります。議論の中心も、「使うか使わないか」から、「透明性を確保し、使った事実と制作過程を説明できるか」へ移っています。
そのために必要なのは、利用したツールや工程を記録し、外部パートナーも含めてトレーサビリティを確保することです。そして、実際の顧客の反応を見ながら、自社なりの運用を改善していくことです。
AIだけを切り離して考えると、この問題を見誤ります。情報があふれ、もっともらしいものを簡単に作れる時代だからこそ、自社をどう信じてもらうか。その信頼設計からWeb戦略やマーケティングを捉え直すことで、次に取り組むべきことが見えやすくなるはずです。
関連する公式情報
この記事はPodcastの書き起こしを元に再構成したもので、本文作成時に外部文献を直接引用していません。内容の背景を確認したい方向けに、関連する公式情報を以下に挙げます。
- Google公式:Expanding AI transparency in ads
- Google公式:Enhance visual storytelling in Demand Gen with generative AI
- Google公式:Get creative with generative AI in Performance Max
FAQ
AIで作った画像を広告やWebコンテンツに使ってもよいのでしょうか。 一般的な領域では、基本的なルールを守り、担当者が内容を確認・最適化する前提で活用を検討できる段階に入っています。業界や顧客によって受け止め方が異なるため、実際の反応も確認しながら判断しましょう。 SNSでAI広告への反発が目立つ場合、利用を控えるべきでしょうか。 SNS上の意見が世の中全体をそのまま反映しているとは限りません。SNSの反応だけで決めず、実際の顧客や対象市場がどう受け止めるかを確認したうえで判断しましょう。 AIを使った広告では、何を記録しておくべきですか。 広告主や制作担当者が、AI利用の有無、使用したツール、AIを使った工程、担当者が確認・修正した内容を説明できるようにします。完成したクリエイティブだけでなく、制作過程も管理しましょう。 外部の制作会社へAI広告を依頼するとき、何を確認すればよいですか。 生成AIに対する方針、利用の有無を記録する方法、確認体制、今後の改善計画を確認しましょう。AIを使っているのに制作過程を説明できない状態を避けることが重要です。 AI広告を導入する際の最も重要な判断軸は何ですか。 AIか非AIかだけで分けるのではなく、広告を受け取る人の信頼を守れるかで判断しましょう。透明性を確保し、顧客の反応から学びながら、自社なりの使い方を改善していくことが重要です。配信スタンド
- Apple iTunes 公式ストア Podcast(おすすめ) https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhong-shan-yang-pingno-non/id750899892
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