第548回:GoogleマップへのAI-FAQチャット機能追加はWebサイトの意義が問われる出発点か
画像でのまとめ
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
この記事では、GoogleマップのGoogleビジネスプロフィール(GBP)に「AIベースのQ&A(チャット)機能」が入り始めたという海外事例を手がかりに、これからの集客とWebサイトの役割をどう考えるかを整理します。
- Googleマップ上のQ&Aが「AIチャット」に置き換わると何が変わるか
- AIが参照しやすい情報の置き方(GBPとWebサイトの整備ポイント)
- ゼロクリックサーチが進んだときに、Webサイトをどう位置づけるか
- 業者任せにせず、自分たちで情報をコントロールする考え方
今回の話の出発点は、Search Engine Journalに掲載されていた「GoogleマップのQ&AがAIに置き換わり始めた」という記事です。米国のモバイル向けGoogleマップで、特定カテゴリに限定して導入が進んでいる、という内容でした(収録時点:2025年1月22日)。
日本ではまだ確認できない前提で、記事内の動画などをもとに状況を追いながら、「この流れが続いたとき、Webサイトは何のためにあるのか」「マップからの集客をどう考えるべきか」を一緒に考えていきます。参考として、元記事はこちらです。Ask Maps Is Google Q&A’s AI Replacement: Here’s What It Means For Marketers
Googleマップで何が起きているのか
Googleマップには、以前からユーザーが質問して誰かが答える「Q&A機能」がありました。私自身もローカルガイドとして、質問に答えたりすることがあります。
一方で、Q&Aは不正確だったり、意図的に良くない情報を混ぜられたりといった問題があったようで、廃止の話も出ていました。そこで単純に消えるのかと思いきや、置き換わる形で「AIによるQ&A」が入り始めた、というのが今回のポイントです。
AIのQ&Aは「FAQの置き換え」ではなく、チャットに近い
新しい機能は、決め打ちのFAQが並ぶだけではありません。自由入力で質問できる形式で、感覚としてはAI検索やチャットツールに近いものです。私はPerplexityに近い印象を持ちましたし、NotebookLMのように「用意されたソースから答えを返す」方向にも見えます。
例えばレストランに対して「何時からこの料理はありますか」「チキンのソテーはありますか」といった質問を投げ、メニューや材料が掲載されていれば、その情報をもとに答えてくれる、というイメージです。
表示位置と、事前に出てくる質問
記事内の動画を見る限り、表示位置はかなり下の方で、レビューや各種情報のさらに下に出てきます。現時点で“ど真ん中”に出ているというより、追加の情報欄として入っている印象です。
また、いきなり自由入力だけではなく、事前に生成された質問もいくつか並びます。例としては次のようなものです。
- いつ行くのが一番いいですか(What is the best time to go?)
- 複数人で行くのに向いていますか(Is it good for groups?)
- その上で自由入力で追加の質問ができる
事前質問は「昔のQ&Aの焼き直し」ではなさそう
気になるのは、事前に表示される質問がどこから来ているかです。以前のユーザー生成Q&Aから持ってきているのか、業種ごとのテンプレなのか、という点ですね。
記事内の調査を追うと、以前のQ&Aデータとの相関はほぼない可能性が高い、とされています。業種テンプレ一択でもないようで、同じ業種でも地域や店舗、チェーンの場所によって質問が変わるケースが見られた、という話でした。
表示されない業種がある(そしてカテゴリ設定が効きそう)
このAI Q&Aは、すべての業種に出るわけではないようです。記事では大きく3つの方向性が挙げられていました。
そして何で決まるのか、という点はGoogleビジネスプロフィール(GBP)のカテゴリ設定が効きそうだ、という話でした。例としてYMCA(キリスト教の青年会)を挙げつつ、同じ組織でもカテゴリが分かれており、AI Q&Aが出る/出ないが分かれていた、という観察が紹介されています。
AIはどの情報を参照して答えるのか
ここが今回いちばん実際の現場に直結するポイントだと思います。調査の範囲では、AIが参照するのは「自分たちがコントロールできる範囲のデータ」が中心だ、という話でした。
具体的には、GBPに登録しているサービス情報や基本情報、そしてレビューの文言、さらに登録しているWebサイト内の情報が参照されやすい。旅行や地域系でありがちな第三者ポータルサイトのデータを、安易に広く拾う仕様ではなさそうだ、という見立てです。
足りないときだけ外部に出る可能性がある
ただし、AIがどうしても答えを作れない場合に、Googleが「信頼できる第三者」と判断した外部サイトへ参照が伸びたケースも見られたようです。ニュース記事やFacebookページが参照先として出た、という観察もありました。
一方で、常に外部へ出るというより、情報が足りないと「情報がありませんでした」のような表示になるケースもある、ということでした。
レビューは「良い面・悪い面」をなるべく見る方向
レビューについても、質問すれば回答が返ってくるようです。レビュー内の文言がかなり参照される印象で、良い評価だけでなく悪い評価もなるべく見る方向に寄っている、という話でした。
私はこれを聞いて、Amazonのレビュー要約のように「全体の傾向を短くまとめる」動きに近いと感じました。上の方だけを拾うのではなく、いろいろな箇所を見て返す、というニュアンスです。
逆算すると、GBPとWebサイトの「情報整備」が致命的に重要になる
AIが主に参照するのがGBPと自社サイトだとすると、ここがメンテナンスされていないのは大きな損になります。特に怖いのは、昔のキャンペーン情報が残っていて、まだ開催中のように見えてしまう、といったケースです。
一番迷惑を被るのはお客さんですが、最終的に一番損をするのは自分たちです。マップ経由で来る来ないに関わらず、所在確認として見られることもありますから、古いまま放置しない方がいいと思います。
私は「Googleビジネスプロフィールを第2のWebサイトとして扱う」くらいの気持ちで、情報を充実させた方がいいと考えています。
AIの入り口がここにできると、公式導入後により分かりやすい場所へ移動してくる可能性もあります。
チェーン展開の悩ましさ
ここは悩ましい点として残しておきます。チェーン展開している場合、店舗ごとに分かりやすいページ(エリア)を持っているところは多くありません。店舗一覧ページに全部集約されてリンクしているケースもあります。
そうなると、店舗ごとの情報粒度がどう扱われるのかが読みづらい。私自身、米国側の事例を追いながら見ていますが、現時点ではまだ難しい、というのが正直なところです。
まずは何を直すべきか(私が勧めたいチェック項目)
ここまでの話を踏まえると、まずは「AIに拾われても困らない情報の置き方」に寄せていくのが現実的です。難しいことを増やすというより、基本情報を新鮮に保つ、という話です。
- GBPの基本情報(営業時間、住所、連絡先、カテゴリ)に抜けや古さがないか
- GBPのサービス情報が、実態に合わせて更新されているか
- 自社サイト側に、AIが参照しても矛盾しない情報が置かれているか(古い告知が残っていないか)
- レビューで頻出する話題に対して、誤解が出ないように情報を整えているか
- 「お客さんが質問しそうなこと」に答えられる形で、見つけやすい場所に情報を置けているか
MEO業者の営業が増える中で「自分でやる」選択肢
最近、ローカルSEOやMEOの業者さんの営業がかなり増えていると感じます。実際、うちのお客さんにもよく電話がかかってきていますし、他でも同じ状況だろうなと思います。
ただ、Googleビジネスプロフィールはネット上で情報を入力していける仕組みです。難しければ本や動画教材を使えば十分に自分たちでできますし、特別な“裏技”を業者だけが持っているわけではありません。自分たちの情報を自分たちでコントロールする、という意味で、私は人任せにしない方がいいと思っています。
ゼロクリックが進むと、Webサイトは「来てもらう場所」ではなくなるかもしれない
Googleマップに限らず、AIの回答が検索や各種サービスに組み込まれていく流れは続くと思います。そうなると、いわゆるゼロクリックサーチが増え、「サイトに行かなくても情報が分かる」場面が増える可能性があります。
極端に言えば、Webサイトが「Googleにデータを与えるためのデータベース」になってしまう可能性すらある。初回の見込み客が、サイトに来ないまま比較検討を終えてしまう世界も、十分にあり得ると私は見ています。
前向きに捉えるなら「サイト外で育つ」時代
一方で、前向きに言い換えると、サイトのアクセス数だけに縛られず、トータルで成果を見ていける時代とも言えます。Googleのいろいろな入口に対して、文字だけでなく写真や動画も含めて、どう情報を提供していくかが重要になっていくはずです。
その前提で、「サイトに来ない状態でサービスを売るにはどうするか」をシミュレーションしておくと、次の一手が見えやすくなると思います。
信頼と第一想起が効きやすくなる
情報が多すぎて処理が大変な時代だからこそ、人は「誰が言ったか」「この会社は信頼できるか」で判断を省略しがちです。だから、企業としてどう見られているか、どんな印象を積み上げているかが、より効いてくる可能性があります。
SNS発信の話もここにつながります。ネガティブなことばかり発信していると、見た人が離れていくのは自然です。お客さんの気持ちになって、どう伝わるかを考えながら活動していく必要があると思います。
メディアの収益モデルにも影響が出るかもしれない
もうひとつ、読んでいて感じたこととして、サイト上の広告やタイアップ記事などで生計を立てているメディアは、より厳しくなる可能性があります。人の動きが変われば、売り方も変えないと追いつけない、という話です。
例えるなら、CDの売上中心から、ライブやグッズなど「自分たち自身を商品として展開する」方向へ軸足を移すような変化に近いのかもしれません。Search Engine Journalもイベントなど別軸があるとは思いますが、裏では脱却を進めているのでは、と私は想像しました。
まとめ
GoogleマップにAIのQ&Aが入ってくる流れは、単なる機能追加ではなく「情報の入口がどこになるか」を変える可能性があります。だからこそ、GBPとWebサイトの情報をスムーズにし、第三者の推測に頼らず「自分たちの情報を自分たちでコントロールする」ことが重要になります。
地域商圏のビジネスはもちろん、オンライン型であってもGoogleマップがディスアドバンテージになり得る、という感覚も持っておくといいと思います。どこかで書き起こし記事も改めて出したいと思っていますが、まずはこの流れにアンテナを立てて、情報を点検してみてください。
なお私は、中小企業・小規模事業者向けに、ウェブ活用のヒントの提供やコンサルティング、制作支援などをワンストップで行っています。もし今回の内容が参考になれば、Podcastのフォローや購読、知り合いへの共有などをしていただけると嬉しいです。
関連リンク
よくある質問
GoogleマップのAI Q&Aは、日本でもすぐ使えるようになりますか?収録時点(2
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