第505回:発注先はフリーランスにすべきか企業にすべきか?大事なのはそこではない
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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は「発注先はフリーランスにすべきか、企業にすべきか」という、よく出てくる話題を取り上げます。X(旧Twitter)でも見かけますし、お客様からも時々聞かれるので、いまの感覚で整理しておきたいと思いました。
結論から言うと、フリーランスか企業かという二択そのものよりも、もっと大事な点があります。そこを押さえると、発注の失敗を減らしやすくなります。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
発注先を「フリーランスか会社か」で判断してしまう落とし穴と、現実的な選び方の軸が分かります。特に、成果を左右しやすい“担当者”の見極め方、契約前に確認したいこと、提案書だけで決めない理由、小さく試していく進め方を整理します。
- 二極で切り分けるのが難しい理由(グレーゾーンの広さ)
- 会社の規模より「担当者」で結果が変わりやすい話
- 最初の打ち合わせ相手が“実担当”かを確認する重要性
- 提案書・コンペだけで判断しないほうがよい背景
- お互いが気持ちよく進む「対等な関係」のつくり方
フリーランスか企業か、で分けるのは現実に合いにくい
まず大事な前提として、発注先を「フリーランス」対「会社」と、ぱさっと二極で切るのはナンセンスだと思っています。なぜなら、その間に本当に幅広い“グレーゾーン”があるからです。
大手の制作会社や代理店もあれば、片手間に近い形で動いている個人の方もいますし、一人法人(合同会社など)の方もいます。
会社の体裁があっても内部統制が整っていないこともあれば、会社であっても新しい領域に追いつけていないこともあります。逆に、個人事業主でも驚くほど能力が高い方はいます。
独立と事業会社を行き来する人も多い
少し話はそれますが、制作会社や代理店から独立してフリーランスになる方が増えています。
逆にフリーランスから制作会社や代理店に入る方、事業会社に入る方もいて、行ったり来たりが同時に起きています。
ただ、ここにも「この経歴ならうまくいく」という法則はありません。独立したら必ずうまくいくわけでもなく、逆に会社に戻れば必ずよくなるわけでもありません。
結局は、その人次第という状況だと思います。
規模だけを基準にしても当たり外れが読みづらい
発注先選びが悩ましいのは、有形サービスと違い、得られるリターンが見えないからです。だからこそ、ある程度安心を担保してくれそうな、企業規模という形で安心したくなる気持ちはとても分かります。
ただ、いまのWeb業界では、規模だけを基準にしても当たり外れが読みづらい場面が増えています。
フリーランスを推したいわけでも、小さな会社を推したいわけでも、大きな会社を推したいわけでもなく、「規模で考えてもあまり意味がない」と捉えたほうが判断しやすい、というのが私の実感です。
大事なのは、結局「担当者」です
私が一番強調したいのはここです。
会社がどうであっても、結局は担当者で結果が変わりやすいと感じています。
同じ予算、同じ期間、同じ目的でも、担当者のコミュニケーションや進め方、業種への理解、場のつくり方で、成果は大きく変わります。予算が半分でも、相性のよい担当者と組めたほうがパフォーマンスが高い、というのは現場でよく見ます。
「いま話している人が、実担当か」を必ず確認する
問い合わせや打ち合わせを重ねていくとき、ぜひ確認していただきたいのは、目の前の人が実際の担当者かどうかです。特に少し大きめの会社では、契約までは営業部門が対応し、契約後に制作部門へバトンタッチすることがあります。
営業の方とは話が合っていたのに、制作側の担当者と噛み合わない、説明されていた印象と違う、ということは起きます。中規模くらいだとディレクション担当が少人数で、実質その人になる、というケースもあるので、なおさらです。
そのため「お願いする場合の担当者の方も同席してください」と伝えて、担当候補の方と直接話しておくのがおすすめです。能力の見極めというより、気持ちよく進められそうかという定性的な感覚が、実は大事になりやすいと思います。
フリーランスは“担当が変わらない”強みがある
フリーランスの場合、営業も実際の現場も基本的にその人が担うことが多いので、「話していた人が変わる」タイプのズレは起きにくいです。ここは分かりやすいメリットだと思います。
一方で、一人でやっていることによるリスクもあります。体調不良や家庭の事情などで、急に動けなくなると、全部が止まってしまうことがあります。会社なら代替要員が立てられることもありますが、個人だとそれが難しい、という点は現実としてあります。
提案書だけで決めないほうがよい
探すときに、提案を集めて比較したくなる気持ちはよく分かります。ただ「提案だけ」で判断すると、あとでギャップが出ることがあります。
提案は、良くも悪くも型があり、慣れている人ほど“整った提案”を出せます。一方で、実際の現場で強い人ほど「提案だけ」には乗りにくいこともあります。結果として、提案重視の進め方が、上積みの人を弾くフィルターになることもあり得ます。
小さな案件で、一緒に動いてみる
そこで私がよいと思うのは、期間を決めて探しながら、小さな案件を用意して実際に一緒に動いてみることです。半年や1年など、現実的な枠を置いて探すほうが気持ちも整いますし、失敗も経験として残ります。
無料で力を見たい、という発想も出やすいのですが、無料だと本来の動きが見えにくいことがあります。お互いに本気の前提が揃った状態で、小さく始めて確かめるほうが、判断としては堅いと思います。
忘れたくないのは「対等な関係」です
もうひとつ、とても大事なのが、発注側と受注側は対等だという点です。お金を払うから上下、という関係ではありません。
どんなに良い人でも、発注側が上から接すると、無意識にパフォーマンスは落ちてしまうんですよね。反対に、お互いが気持ちよく進められる状態がつくれると、細かなやりとりも前向きになり、結果として成果に結びつきやすくなります。
フリーランスと会社、それぞれ特徴はあるが「決め手」は別
フリーランスには、フットワークが軽い、担当者の人柄が見えやすい、比較的単価が抑えられることがある、柔軟に動いてもらいやすい、といった良さがあります。
一方で、先ほど触れたように、止まったときのリスクや、忙しさによって連絡が取りづらい時期が出ることもあります。
会社は、体制があり代替要員を立てられる可能性がありますが、固定費がある分、料金が高くなりやすい傾向もあります。ルールが整っている分、融通が利きにくいと感じることもありますし、人材不足の影響で省力化された進め方になっているケースもあります。
ただ、こうした特徴を踏まえても、最後は「担当者との相性と力量」に戻ってくる、というのが今日の話です。
最近は「フリーランスへのマイナス補正」が減ってきた
うちは株式会社として10年ほどやっていますが、個人としては開業届を出してから20年以上この業界にいます。昔に比べると、フリーランスだからという理由で不利に見られることは、ずいぶん減ってきた印象があります。
コロナ前後で実際に発注してみた経験が増え、「問題なく進んだ」という実感が広がったことも影響しているのかもしれません。もちろんフリーランスは個性が強い方も多いので、合う・合わないは出ますが、それも含めて会って確かめるのが一番確実だと思います。
まとめ
フリーランスか企業か、という二元論で決めようとすると、いまのWeb業界の実態とはズレやすいです。間には幅広いグレーゾーンがあり、規模だけでは判断しにくいからです。
失敗を減らすために意識していただきたいのは、担当者で比較すること、担当者と直接話して感触を確かめること、そして一発で決めようとしないことです。小さく試しながら、気持ちよく進められる相手を見つけていくほうが、結果としてうまくいきやすいと思います。
関連リンク
- 国税庁|個人事業の開業・廃業等届出書(書き方PDF)
- 法務省|合同会社の設立手続について
- 法務省(法務局)|商業・法人登記申請手続
- 公正取引委員会|フリーランス法 特設サイト
- 中小企業庁|取引適正化、価格交渉・価格転嫁、官公需対策
よくある質問(FAQ)
フリーランスか会社か、最初にどちらに絞るべきですか? 二択で絞るより、まずは幅広く当たってみて、担当者で比較するほうが現実的だと思います。会社の規模よりも、実際に動く人で結果が変わりやすいからです。 打ち合わせに出てきた人が担当者かどうかは、なぜ重要ですか? 契約前は営業担当、契約後は制作担当に切り替わることがあり、そこで相性や進め方のズレが出ることがあります。お願いする可能性があるなら、担当候補の方とも先に話しておくと安心です。 提案書を比べれば、良い会社や良い人を見分けられますか? 提案が上手な人ほど型を持っているので、提案だけで判断するとギャップが出ることがあります。小さな案件で一緒に動いてみるほうが、進め方や相性が見えやすいです。 発注側として、質問はどこまでしてよいのでしょうか? 疑問に思うことは遠慮せず聞いたほうがよいです。ただ、圧迫する形ではなく、対等な関係として丁寧に確認していくほうが、お互いの力が出やすいと思います。 フリーランスに頼むときに、特に気をつけたい点はありますか? 一人で対応している場合、体調不良などで急に止まるリスクがあります。進め方や連絡体制、止まったときの代替案などを、最初にすり合わせておくと安心です。配信スタンド
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