第289回:Z世代は本当に「自分で調べるのは面倒くさい」のか?その裏にある情報を得るための行動の変化とは
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、Z世代は本当に「自分で調べるのは面倒くさい」のか、という話を整理します。結論は単純で、調べなくなったのではなく、調べ方と選び方の位置が前にずれただけです。その前提で見ると、売り手が考えるべき接点も、商品設計も、かなり変わってきます。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)
- いわゆるZ世代は、考えずに勧められたものを買っているのではなく、情報が集まる仕組みを先に整えていると分かる。
- 最終判断が早く見えるのは、比較検討が消えたからではなく、前段階でフィルタリングが進んでいるからです。
- 売り手は、商品そのものの文脈だけでなく、その手前にある課題や生活文脈へ入り込む必要があると見えてくる。
- 変化するニーズへ合わせるには、商品や見せ方の柔軟さに加えて、会社としてのミッション共有も重要だと理解できる。
Z世代を誤解しない
「最近の若い人は自分で調べない」「SNSで誰かがおすすめしたものをそのまま買う」という考え方・方向性は、表面だけを見るともっともらしく見えます。ですが今回の話では、その理解は危ないと言っています。
調べないのではなく、見えにくいだけ
今の世代も、十分に考えて行動しています。ただ、昔のように検索窓へ言葉を入れて、比較記事を何本も読んで、最後に決めるという流れが外から見えにくくなっただけです。誰かの紹介を見てすぐ買っているように見えても、その手前には別の準備があります。
最終判断が短く見えるだけ
彼らは思考停止しているのではなく、最終決定の段階までに自分へ合う候補が届く状態を作っています。だから最後の行動だけ切り取ると、あまり比較していないように見える。実際には、選別のタイミングが一つ前へずれているのです。
情報収集の場所が変わった
この違いを理解するには、昔ながらの検索行動と、今の情報行動の差を見る必要があります。
検索中心からレコメンド前提へ
少し前の世代は、欲しい情報を自分で探しに行き、集めて、比較して決める形が中心でした。ところが今は、アルゴリズムやレコメンドが当たり前にある環境で育っています。だから発想の出発点が違います。どうやって調べるかより、どうやったら自分に合う情報が流れてくるかを先に考えるのです。
自分に合う情報が集まる状態を作る
そのために、見てもいい、出してもいいと思える情報はネット上へ出し、自分の好みや行動を少しずつ学習させていきます。結果として、自分に合う候補が日常的に集まるようになる。そうなれば、最後はその中から選ぶだけなので、即断に見えても不思議ではありません。
情報量が昔より圧倒的に増えていることも大きいです。昔が家電量販店の棚一列から選ぶ感覚だとすれば、今は巨大な売り場全体から選ぶようなものです。最初にフィルタリングしなければ、そもそも見切れません。
売り手が見直すべき接点
この前提で考えると、売り手がやるべきことは、ただ商品情報を出すことではありません。その前段階で、どうやって相手のフィルターへ入り込むかを考える必要があります。
商品カテゴリの外側に接点を作る
たとえば収納商品を売るとして、収納メディアや収納系の検索だけを見ていては足りません。なぜ収納が必要なのかを掘ると、部屋を広く使いたい、リモートワークで机まわりを整えたい、引っ越しで部屋が狭くなった、といった事情が見えてきます。そうなると、接点はインテリア、不動産、在宅勤務、部屋づくりの文脈にも広がります。
そのとき出すべき言葉も変わります。収納です、と正面から言うだけでなく、机の横に何センチ空間が増えるのか、プリンターを置くスペースをどう作れるのか、といった生活文脈の言い方に変える必要があります。
インフルエンサー任せは危うい
この構造を見落として、フォロワーの多い人に紹介してもらえば売れる、と考えるのは危険です。影響力のある人の発信も、あくまで最後に届く候補の一つにすぎません。そこに絶対的な忠誠があるわけではなく、自分に合うかどうかで判断されます。だから重要なのは、誰に言ってもらうかだけではなく、その人のアンテナへどう引っかかるかを設計することです。
商品と会社の柔軟さが問われる
接点の作り方が変わるだけでなく、商品そのものや会社の動き方にも柔軟さが必要になります。
見せ方とパッケージを変えられるか
同じ商品でも、ニーズに合わせてまとめ方や見せ方を変えられる会社は強くなります。収納の例なら、リモートワーク向け、狭い部屋向け、すっきり見せたい人向け、というように切り口を変える余地があります。固定の言い方と固定の商品パッケージだけで戦うより、その時々の状況に合わせて見せ方を調整できる方が、今の情報行動に合います。
ミッション共有が変化への土台になる
ただ、こうした変化を場当たり的に繰り返すだけでは、社内でズレが出ます。だからこそ、自分たちは何で喜ばれているのか、何を価値として提供する会社なのかを、会社全体で共有しておく必要があります。上だけが方向を決めても、配送、サポート、営業、制作で価値観がずれれば、最終的な体験にほころびが出ます。
私自身も、社名やサービス名以上の価値で喜ばれている現実に触れながら、名前や見せ方を超えて、自分たちを定義し直す難しさに触れています。これは多くの中小企業に共通する話です。変化に合わせて商品や見せ方を変えるには、その根っこが必要になります。
まとめ:選ばれる前の文脈へ入り込む
Z世代は、自分で調べるのが面倒だから誰かのおすすめに流されている、という理解では足りません。実際には、自分に合う情報が集まるように、もっと手前で環境を整えています。だから売り手も、最後の比較表や最後のおすすめ枠だけを見ていては遅いのです。
必要なのは、相手が何を欲しがっているかだけでなく、なぜそれが必要なのかまで掘り、その前段階の文脈へ接点を作ることです。そして、その文脈に合わせて商品や見せ方を柔軟に変えられること。その土台として、会社としての価値やミッションが共有されていること。そこまで整えられる会社ほど、これからの世代に対しても強くなっていくはずです。
配信スタンド
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